研究課題/領域番号 |
24592893
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坂口 究 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (90312371)
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研究分担者 |
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20210627)
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キーワード | 咀嚼運動 / 咀嚼運動経路 / 重心動揺 / 全身姿勢 / 国際情報交換 / アメリカ |
研究概要 |
昨年度は課題推進のため,1.咬合評価の標準値確立,2.姿勢の変化に伴う咬合接触の時系列解析,3.姿勢の変化に伴う咀嚼運動の比較に着手して成果を報告した. 本年度は,咀嚼運動と全身姿勢の関連性について,詳細な解明がなされていない現状を踏まえて,頭部の協調運動を伴う咀嚼運動が,身体の重心動揺にどのような影響を及ぼすのかについて検討を行った.まず,運動論学的に咀嚼運動の客観的評価を行い,次に,機能的な安定性が報告されている咀嚼運動経路を有する者を選択して,咀嚼運動が重心動揺に及ぼす影響について分析した.重心動揺の安定性評価では,1) 習慣性咀嚼側咀嚼時における足底荷重中心移動の総軌跡長と単位面積軌跡長は,下顎安静位と咬頭嵌合位の値よりも短かった(p<0.05).2) 習慣性咀嚼側咀嚼時における足底荷重中心移動の外周,矩形,および実効値面積は,下顎安静位と咬頭嵌合位の値よりも小さかった(p<0.05).重心動揺のバランス評価では,前後・左右の足底荷重分布値は,下顎安静位,咬頭嵌合位,習慣性咀嚼側咀嚼時の3条件間に有意差は認められなかった.以上の結果から,咀嚼運動経路が機能的に安定している健常有歯顎者,すなわち,運動経路のパターンが咬頭嵌合位から作業側に向かってスムーズに開口し,その後咬頭嵌合位へ閉口するが,咬頭嵌合位付近の閉口路がconvexを呈する健常有歯顎者の習慣性咀嚼側での咀嚼運動は,下顎安静位,咬頭嵌合位と比較して,重心動揺の前後,左右のバランスには影響を及ぼさないが,重心動揺を安定させることが明らかとなった.つまり,咀嚼運動は,姿勢制御に影響を及ぼし,姿勢の安定性を高める可能性が示唆された. 次年度の最終年度は,これまでの成果を踏まえて,分析方法に頭部の動作解析を加えて,咬合および咀嚼機能と全身姿勢との関連性をより詳細に解明するためのデータを蓄積していく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度,所属研究室は,本学研究棟の耐震補強工事のために,仮住いへの2回目の引越しを行い,現在もなお仮住い中である.本研究を実施するための場所についても,想定外の事態が重なり,固定した研究実施スペースを確保することができなかった.したがって,広い空間スペースを必要とする本研究の遂行に当たり,昨年度に引き続き,必要な機器の購入,および現有システムのバージョンアップなどが思うように行うことができなかった.結果として,交付申請書に記した本年度の研究実施計画に対して,やや遅れているという自己点検評価となってしまった.
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今後の研究の推進方策 |
次年度,平成26年7月には本学研究棟の工事が終わり,仮住い生活が終了する.新研究室には,本研究を実施するための専用の研究スペースが確保されるので,研究スペース確保後,本研究推進に必要な機器の購入,現有システムのバージョンアップなどを早急に行い,本研究を推進していく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は,本学研究棟の耐震補強工事のために,所属研究室の仮住いへの2回目の引越しがあり,想定外に本研究実施スペースの縮小が強いられ,かつ計測機器の固定化を図ることができなかった.その結果,広い空間スペースを必要とする本研究の遂行に当たり,必要な機器の購入,および現有システムのバージョンアップが思うように図ることができなくて,当該助成金が生じてしまった. 次年度,平成26年7月には本学研究棟の工事が終了して,所属研究室の仮住い生活が終わる.新研究室には,本研究を実施するための専用の研究スペースが確保されるので,研究スペース確保後,直ちに翌年度分として請求した助成金と併せて,交付申請時に予定していた機器とシステムの購入,および現有システムのバージョンアップを図り,早急に本研究を推進していく予定である.
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