研究課題/領域番号 |
24592895
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
堀内 留美 北海道大学, 大学病院, 助教 (10374274)
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研究分担者 |
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20210627)
堀内 正隆 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90322825)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | オッセオインテグレーション / マイクロアレイ / チタンインプラント |
研究概要 |
本研究の目的は、歯科インプラント治療におけるオッセオインテグレーションの獲得に影響する遺伝子の解明を、in vitroおよびin vivoにおいて推し進め、その遺伝子情報を臨床応用に展開することにより、インプラント初期治癒過程におけるより確実なオッセオインテグレーションを獲得することである。 今年度は、オッセオインテグレーション阻害因子の検索として、以下をすすめた。 DNAマイクロアレイを用いた経時的遺伝子発現の解析:21年度科研(基盤C:21592488)いおいて確立した術式に基づいて、インプラント埋入手術からの経時変化を調べる。初期(インプラント埋入3日後)のオッセオインテグレーション獲得前のDNAマイクロアレイデータを調べ、埋入1週後のデータとあわせて遺伝子発現の差異を経時的に検索する。 具体的には、A.オッセオインテグレーション獲得モデル、B.オッセオインテグレーション非獲得モデルならびにC.コントロールの3グループについて、n=5となるようそれぞれモデルを作成した。これらのモデルについて、埋入3日後にインプラント周囲組織を取り出し、それぞれtotalRNAを精製し、各グループ内5サンプルのうちで精度、濃度の良好な4サンプルを選択して、cRNAの調整、ラベリング後、ハイブリダイズした。蛍光強度を測定し、得られた結果をGene Spring GX 11.5(Agilent Technologies)を用いて、特異的に発現する遺伝子について網羅的な遺伝子解析を行った。 AおよびB群の2モデル間の遺伝子の発現の差異を検索したところ、4万個あまりの遺伝子が確認された。埋入1週後のデータと比較すると、A群に特異的に発現する遺伝子には骨形成に関与する遺伝子を含んでいたが、B群に特異的に発現する遺伝子は、発現率にばらつきが大きく骨形成に関与する遺伝子は含まれていなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験に使用するラットの作成が、予定通り進まなかったために、実験着手に遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
オッセオインテグレーション阻害因子の検索を推し進めるため、以下について計画している。 1.Real time PCRによる発現遺伝子の定量的検索:オッセオインテグレーション獲得個体群と非獲得個体群との間で発現量に有意な差が見られた遺伝子について、Real time PCRによっても発現変動が有意であるかどうかを確認する。既知の文献やデータベース解析を行い、オッセオインテグレーションを阻害する因子の候補を絞り込み、その作用機序を予測する。 2.阻害因子の候補遺伝子に由来するタンパク質の準備:in vitroおよびin vivoで行う検証に向け、既知の文献やデータベース解析を行い、阻害因子の候補遺伝子に由来するタンパク質を購入あるいは発現、精製する。組換えタンパク質の作製に関しては、阻害因子の候補遺伝子に由来するタンパク質が購入できない場合には、大腸菌、昆虫細胞、カイコおよび動物細胞などを用いて組換えタンパク質として発現させ、高純度に精製して利用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度、米国Thermo Fisher Scientific社製 極微量分光光度計Nano Drop 2000について購入予定であったが、教室の引っ越しのため設置場所の確保ができなかった。そこで、来年度に購入を予定している。 また、Real time PCRの試薬やプライマー類の購入を考えている。
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