研究課題/領域番号 |
24592899
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
依田 信裕 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20451601)
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研究分担者 |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30178644)
濱田 泰三 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50034244)
高橋 正敏 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50400255)
川田 哲男 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (80292225)
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キーワード | ノンメタルクラスプデンチャー / 三次元荷重 / 支台歯荷重 / 維持力 |
研究概要 |
近年,「ノンクラスプデンチャー(以下,NCD)」の臨床応用が拡大している.しかしながら,実際に臨床において樹脂クラスプの適用アンダーカット量等,設計に関するガイドラインは存在しない.本研究は,様々な樹脂材料を用いて製作したNCDにおいて,義歯離脱時に支台歯に加わる荷重を測定し,NCDの維持力を定量評価し,一般的なCo-Cr合金製のクラスプを用いた部分床義歯の測定結果と比較検討することで,各NCDが発揮する維持力について考察した. 支台歯に加わる荷重測定には小型水晶圧電式センサ(以下,圧電センサ)を使用した.下顎第二小臼歯と第一大臼歯を欠損とした,仮想中間欠損実験用模型を製作した.支台歯は第一小臼歯と第二大臼歯と想定した.実験用義歯は,ポリアミド-ナイロン系樹脂で構成されるPA-NCD,ポリカーボネート系樹脂によるPC-NCD,維持腕にポリカーボネート系樹脂を用い,支持・把持要素はCo-Cr合金を用いたmPC-NCD,一般的な鋳造鉤を用いた部分床義歯PMMA-CDの計4種類とした.各実験用義歯を模型から垂直に引っ張り義歯を離脱させ,その際に各支台歯に加わる荷重を測定した.義歯離脱時に各支台歯に加わる荷重の比較には一元配置分散分析を適用に,その後の比較にはTurkey検定を使用した. Y軸方向に加わる最大荷重量は,両支台歯共にmPC-NCDに比較してPMMA-CDにおいて有意に大きくなり,またPA-NCDとPC-NCDの間には有意差は認められなかった.Z軸方向に加わる最大荷重量は,第一大臼歯では他の実験用義歯に比較して,PMMA-CDにおいて有意に大きくなった.各実験用義歯の維持力は,他の実験用義歯に比較して,PMMA-CDにおいて有意に大きくなった.またNCD間を比較すると,有意差は認められなかったがmPC-NCD,PC-NCD,PA-NCDの順に維持力は大きくなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
測定に必要なセンサは既に当研究室で所有してしたため,荷重測定装置の設計および開発はおおむね順調に進展した。また、実験用NCDは材料の選定は円滑に進行したが,製作には当初の予定よりも時間を有した。実際の測定に関しては,2つの異なる目的のセンサを同時測定に用いたため,分析方法の決定に苦慮した。 初年度は義歯人工歯部に垂直荷重を負荷し,NCD装着時における支台歯および義歯床下粘膜に加わる荷重を測定し,比較検討を行ったが,今年度は義歯が離脱時に支台歯に加わる負荷を測定し,比較検討することができた.
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今後の研究の推進方策 |
この2年間の研究を総括し,出られたデータの分析を進め,実際に口腔内にNCDを応用する際のガイドラインとなるエビデンスを構築する。そのために樹脂製のクラスプ部の形態や幅等が,発揮される維持力に与えるに影響についてさらに検討が必要と考える。また,加える負荷荷重に関しても咀嚼等をシミュレートしたものに変化させることが必要と考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は実験環境整備からデータ取得までの期間が計画よりも遅延してしまったため、データ処理時に必要な人件費・謝金を使用することが出来なかったため次年度使用額が生じてしまった。 次年度使用額は23040円のみであるため、基本的には当初の計画通り実験を遂行予定であるが、次年度使用額は主にデータ分析等の人件費・謝金に使用する予定である。
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