研究課題/領域番号 |
24592906
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
秀島 雅之 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (50218723)
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研究分担者 |
松浦 博 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (60451085)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | チェアサイド / 発語機能評価 / 音声認識プログラム / 音声セグメントラベル / 適正ラベル / 構音動態 / 健常歯列者 / 義歯装着者 |
研究概要 |
発音はコミュニケーションを図る上で必要不可欠な口腔機能で,患者自身の主観的評価が重要な咀嚼,嚥下機能に対し,発音は他者が明瞭に聞き取れるかの客観的評価が要求される.しかし一般の歯科補綴治療では義歯装着の際,歯や粘膜の痛み,咬合,清掃状態等を精査するが,発音の確認はまれで患者がスムーズに話せるか,術者が聞き取りやすいか等の主観的な判断に頼っているのが現状である.患者も発音への意識は薄く,訴えは少ないが,義歯装着後に電話の会話が通じにくい,息の抜けが悪い等の症状は少なくない.歯科医は発音と義歯の形態,デザイン(設計様式)との関係をよく理解し,義歯の装着,調整を行う必要がある. 筆者らは音声認識システムを導入し,簡便な録音機器とノートパソコンを用いて,チェアサイドで使用可能な発語機能評価システムを開発し,特定の被験音の明瞭度を評価し,義歯装着時の発語機能評価を可能としたが,義歯装着時の発音の不具合をどのように判定し,どの部位をどれだけ調整すればよいかの明確な指針が得られていない. そこで本研究では各音節に対応して口腔諸器官の動きを視覚的に再現し,発音障害の生じる義歯の部位を明示するプログラムを作成して,義歯装着時の発語機能の評価法,義歯の調整法を確立することを目的とした. 本年度は健常者,欠損歯列者に種々のデザインの実験用義歯を装着し,発音の違いを記録,分析するとともに,発音障害の生じた部位を調整しその効果を検討した. また分析用プログラムのVoiceAnalyzerについて改良を行い,Windows 8への対応およびWindows8で新たに加わったタッチ入力への対応を図った。タッチ入力では子音領域の範囲指定機能を改善し,使い勝手が向上した.また分析用に開いたファイルを一括して保存もしくは閉じる機能を追加し,より操作性,機能性が向上した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年次の1年目で以下の目標の1.について,健常者に実験用パラタルバーを装着し,バーの走行位置・幅・断面形態を変えて発音への違いを分析した.また欠損歯列者についても義歯床の形態を変え,発音への影響を検討した.その結果バーの走行位置の影響の最も大きいことが示唆された.したがって1.の目標についてはほぼ達成されたと評価される. 新義歯装着時に発音機能をどのようにチェックし,発音障害を生じた場合に義歯のどの部位を修正するかの十分な指針がないため,音声認識による発語機能評価システムを用いて,部分床義歯装着時の発語機能の変化を分析し,構音中の口腔諸器官の動態をモニター上に再現して,その調整法を診断する. 1.健常者,欠損歯列者に種々のデザインの義歯を装着し,発音の違いを記録,分析する. 2.義歯装着時の構音中の舌,口唇,軟口蓋部等の諸器官の動きを,各音節に対応して視覚的に分かるよう再現し,発音障害の程度,相当する義歯の部位を明示するプログラムを作成する.
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今後の研究の推進方策 |
2年次以降も1.のデータ蓄積,分析を進めるとともに,2.の構音動態可視化システムの構築に向け,プログラム作成の作業を進める. そして発音障害の程度,調整すべき義歯の部位を明示するプログラムを開発する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は義歯装着時の構音中の舌,口唇,軟口蓋部等の諸器官の動きを,各音節に対応して視覚的に分かるよう再現できる可視化プログラムの開発費を主に,研究費を使用する予定である.また継続的に1.のデータ蓄積,分析を行うため,実験用義歯の器材,製作にも経費を使用する予定である.
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