研究課題/領域番号 |
24592908
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
堀 一浩 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70379080)
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研究分担者 |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
小野 高裕 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (30204241)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 嚥下 / 嚥下障害 / 舌圧 / 咽頭残留 / 口腔内残留 / 誤嚥 |
研究概要 |
高齢化社会において,加齢や疾患に伴う嚥下障害は誤嚥や窒息を引き起こす可能性があり,大きな問題の一つとなっている.嚥下後誤嚥は,梨状窩や喉頭蓋谷など咽頭内に残留したものや口腔内に残留した食塊が喉頭内に侵入し,誤嚥に至るものである.しかし,これまで多くの研究において,咽頭内に残留する食塊の定量的評価を行う試みが行われているものの,未だ確立された方法はない. そこで我々は,呼気に含まれる香料の濃度を鼻孔や口腔から測定することにより,口腔・咽頭残留量を評価する方法を考案した.本法の特徴は定量的かつ経時的ににおい強度を測定できる装置を用いることにより,非侵襲的かつ定量的に口腔・咽頭残留を測定できることである.本年度は,健常者を用いて口腔・咽頭残留をシミュレートし,その検証を行った. 具体的には,口腔・鼻腔からの呼気に含まれるにおい成分量を経時的に測定し,口腔・咽頭内に残留している(香料を含む)試料の量との相関を解析した.装置は,新コスモス電機社製ニオイセンサーXP-329IIIRを使用した.被験者にはネーザルカニューレを装着し,そのチューブをにおいセンサに接続した.試料として三栄源エフエフアイ社製香料を使用した. 被験者の口腔・咽頭内にそれぞれ0.2,0.4,0.6mlの試料を注入し,120秒間嚥下せずに咽頭内に保持し,その後嚥下するように指示をした.注入前60秒,注入後保持120秒,嚥下後300秒間のにおい強度の測定を行った. 試料注入後(すなわち口腔・咽頭内に一定量の試料が残留している状態),すみやかににおい強度は上昇した.また,嚥下後(被験者は健常者なので口腔・咽頭内残留量はゼロになったと推定できる)にはその値は減少し,嚥下5分後には基線近くの値となった.また,試料が咽頭内に残留している間のにおい強度と咽頭残留量には,高い正の相関関係が見られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,測定装置・シミュレーション手法などを確立するとともに,口腔・咽頭残留の定量的評価法の検証を行った. その結果,試料注入後(すなわち口腔・咽頭内に一定量の試料が残留している状態),すみやかににおい強度は上昇した.また,嚥下後(被験者は健常者なので口腔・咽頭内残留量はゼロになったと推定できる)にはその値は減少し,嚥下5分後には基線近くの値となった.また,試料が咽頭内に残留している間のにおい強度と咽頭残留量には,高い正の相関関係が見られた.これらより,本法が残留量を定量的に評価できることが示唆された. おおむね研究計画通りにすすんでおり,得られた結果も想定通りのものであったことから,おおむね順調に進行しているものと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の結果から,におい強度は呼吸による影響を強く受けることがわかった. そこで,次年度は,舌圧・香料・呼吸運動を同時記録するシステムを構築し,その有用性を検討する予定としている.また,嚥下運動により一過性ににおい強度が増加することがわかったことから,その補正する方法を検討するとともに,におい強度の増加に関連する因子を検討する.さらに,残留量をもっと短時間で測定する手法について検討する予定としている.
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次年度の研究費の使用計画 |
測定装置は当研究室で保有している物を使用するため,新たに設備を購入する必要は無い.必要な消耗品の他,設備のメンテナンス,成果発表のための国内旅費,論文作成補助などに使用する予定である.
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