研究課題/領域番号 |
24592909
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
黒川 孝一 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60215085)
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キーワード | 歯学 / 骨応力予測 |
研究概要 |
平成25年度は前年度に2012年納入コーンビームCT(以下CBCT)(AUGE SOLIO,アサヒレントゲン)を用いた下顎の乾燥骨の画像を基に作成した3次元有限要素モデル(CBCT-2012)を活用し、応力解析を行った。そのためにまず、RATOC社製3D骨梁構造計測ソフトTRI/3D-BONを用いて皮質骨・海綿骨の二値化された画像を修正し、モデルの精度を向上させた。完成したモデルに対し、RATOC社製有限要素法ソフトTRI/3D-FEM を用いて皮質骨、海綿骨およびインプラントそれぞれの物性値を定義した。次、荷重条件はモデルの底部を拘束し、インプラント上部にあるアバットメントに垂直に200Nの荷重を加え、同三次元有限要素ソフトを用いて応力解析を行った。その解析結果を、研究代表者・分担者らは以前より分析してきた同乾燥骨のμCT画像を基に得られた精密な3次元有限要素モデル(μCTモデル)の応力解析結果と比較し、その結果、両モデルのインプラントと骨の応力分布は概ね一致していた。 結果から、力学の視点からCBCT-2012モデルはμCTモデルとほぼ同等のモデルであると考え、平成24・25年度で用いた3次元有限要素モデルの作成手順および解析方法を生体への臨床応用に繋げるために、臨床上必要なCT撮影画像を研究解析対象とする同意を患者から得るべく、研究代表者・分担者および連携研究者2名の体制で新潟大学歯学部倫理委員会へ倫理審査を申請し、本年2月24日に承認を得た。承認を得た研究実施計画に基づいて本年3月12日にインプラント治療予定患者1名より骨診断の目的で撮影されたCBCT画像を本研究へも用いる同意を得た。それらの画像データを用いて平成26年度に3次元有限要素応力解析モデルを作成・解析を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は本研究を前年度の研究実施計画に従って実施し、得られた研究結果は平成26年度6月に開催される国際学会に口頭発表として確定済みであり、又平成24年度の研究結果と併せて国際雑誌に論文(1件)掲載されたことから現在までの達成度がおおむね順調に進展していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は前年度にインプラント治療前の臼歯部下顎骨のCBCT画像データを用いてヒト生体からの下顎骨の3D-FEM骨梁応力解析モデルの作成を試みる。予見される課題として、顔面等の軟組織に含まれている水分により乾燥骨のCBCT画像に比較して生体のCBCT画像の質が劣ることである。そのため、撮影条件を変更しながら、画像の改善を図った上で得られた素画像を手作業で骨梁間の補間作業を行い、ヒト生体骨梁モデルを完成させる。 その後、CBCTデータより得られた3D-FEM骨梁モデルに別当で撮影したインプラントのデータを位置合わせソフトにより重ね合わせてインプラント埋入後の状態をシミュレーションした3D-FEMモデルを構築する。 3D-FEM骨梁モデルの構築が得られれば、インプラントに咬合力に相当する力を加えた上で応力解析を行い、インプラント周囲骨の応力分布を解析し、μCTデータより得たインプラント・骨梁モデルの解析結果と比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に受領した助成金の一部は次年度に繰り越した。それは調達予定であったヒト乾燥骨が求め続けたものの、実験に適したものがなかったことや、基本解析ソフトの更新費用は予定より安価で調達できた。 平成26年度は申請書に示した消耗品の他、TRIシリーズの位置合わせソフトを購入する予定である。また、旅費に関して、該当年度に学会発表が確定している海外出張(代表者分・連携研究者分1名)や代表者、分担者および連携研究者ら(1名)が発表や資料収集に出席予定の国内・外学会への出張に用いる予定である。
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