研究課題
今年度は、咀嚼能力評価システムについて以下の検討を行った。1)スコア法の結果に影響する口腔内因子について:一般歯科医院来院患者73名において、スコア法による咀嚼能力評価の結果に対して最大咬合力ならびに現在歯数が要因となることを明らかにした。2)児童の咀嚼能力評価への応用について:小学校6年生の児童を対象に、咀嚼トレーニングの介入前後の咀嚼能力をグルコース法で比較したところ、介入クラスでは非介入クラスと比較してトレーニング後のグルコース溶出濃度の有意な増加が確認された。3)咀嚼能力と食行動との関連:吹田研究基本健診受診者1760名において、グルコース法で測定した咀嚼能率と肥満の原因となる食行動のうち「甘い飲料の摂取」と咀嚼能率低下との間に関連が見られた。4)咀嚼能力と頚動脈肥厚との関連:吹田研究基本健診受診者のうち頸部エコー検査受診者の最大IMTと咀嚼能率の低下との間に関連が認められた。5)半量グミゼリーの開発:グミゼリーを半分量にして全自動咀嚼能力測定装置による評価を試みたところ、咀嚼能力低下者をより詳細に評価することができた。6)咀嚼能力に対する歯周病の影響:咬合支持が確立している集団と咬合支持が崩壊寸前の集団において、歯周病の罹患による咀嚼能率の低下が見られた。7)グミゼリー咀嚼・嚥下時の咀嚼筋筋電図と口腔前庭圧を計測し、顎、口唇、頬の協調性について評価した。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の研究目的であった、咀嚼能力評価法の各分野への展開が進み、学童、成人、高齢者において評価が確立しただけでなく、咀嚼能力が大きく低下した要介護高齢者においても半量グミゼリーを用いることで詳細な評価が可能になることがわかった。また、大規模集団(吹田研究)において、咀嚼能力に関連する口腔ならびに全身の健康因子のいくつかが明らかになったことは大きな進捗である。さらに、グミゼリーを咀嚼する上で口腔器官(顎、頬、口唇)がどのように協調しているかを知ることにより、咀嚼能率の低下の生理学的背景を推測する手がかりが得られた。
今年度に有用性が確認された半量グミゼリーについて、介護施設での応用をより簡便にするためにスコア法を開発する。また、嚥下障害患者における評価を行う上で重要なグミゼリーの嚥下動態について確認する。
人件費の減少と物品費の増加など、支出予定項目に変更が生じたため。次年度も人件費は減少すると予想されるため、その分をグミゼリーの開発費に転用するなど研究目的に沿った使用を行っていく。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)
Journal of Clinical Periodontology
巻: 41 ページ: 497-503
10.1111/jcpe.12241.
日本咀嚼学会雑誌
巻: 23 ページ: 30-38
巻: 23 ページ: 69-74
巻: 23 ページ: 81-89