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2013 年度 実施状況報告書

生体にやさしい歯冠用コンポジットレジン複合型ジルコニアクラウンの臨床応用に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 24592916
研究機関広島大学

研究代表者

下江 宰司  広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 講師 (90379884)

研究分担者 平田 伊佐雄  広島大学, 医歯薬保健学研究, 助教 (40346507)
里田 隆博  広島大学, 医歯薬保健学研究, 教授 (80170801)
キーワードジルコニア / 歯冠用コンポジット / 接着強さ / 表面処理
研究概要

先ず,セリア系ナノ複合体(ナノジルコニア)における熱処理(相変態)が接着強さに及す影響について検討を行った.我々はY-TZPジルコニアにおいて,熱処理を行うと接着強さが低下することをすでに報告していたが,ナノジルコニアにおいても同様に結果となり,陶材の結合とは異なり歯冠用コンポジットとの接着においては有効でないことを明らかにした.
次にナノジルコニアの表面処理が接着強さに及す影響について検討を行った.この結果,Y-TZPでは有効であったトライボケミカルコーティング(ロカテック)は処理なしのものと有意差がなく,効果がないことが明らかとなった.また2種のプライマー(AZプライマーとセラミックプライマー)は有効であったが,セラミックプライマーが有意に高い値を示した.これはセラミックプライマーに含まれているリン酸エステル系モノマー(MDP)がAZプライマーのスルホン酸系モノマー(6-MHPA)より高い効果を示すという合着材での過去の報告と一致する結果となった.
また,新しく考案したレーザーによるマイクロスリット型機械的嵌合力の効果であるが,まず従来より比較対象として用いられる前装陶材の結合力を調査した.その結果,破断面は凝集破壊を示し陶材がスリット内に残留していたが,合着強さではアルミナブラスト処理と有意差が認められなかった.このことから界面での結合においては有効であったが,結合力より前装陶材単体での強度が低いため結合強さの増加がみられなかったのではないかと推察された.現在,歯冠用コンポジットでの有用性について検討中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度はセリア系ナノ複合体(ナノジルコニア)における熱処理(相変態)および表面処理が接着強さに及す影響について検討を行った.だが,申請当初計画していなかったレーザーによる新規マイクロスリット型機械的嵌合力の効果について検証を始めたため,表面処理による濡れ性が接着強さに与える影響についてはまだ検討中となっている.しかしながら,X線光電子分光分析装置(XPS)を用いた化学的相互作用の解析についてはすでに前倒しで行ったため,計画の前後はあるが,概ね順調に進展していると考えられる.

今後の研究の推進方策

すでに進めているレーザーによる新規マイクロスリット型機械的嵌合力の効果について,歯冠用コンポジットにおける影響をその耐久性も含めて検討する.また,ぬれ性と接着強さの関係については,すでにアルミナブラストや熱処理,および最近になってエッチングが可能であるとの報告のあったフッ化水素酸について検討中であり,条件が整えばUVオゾン処理も加える予定にしている.
これらを行った上で,機械的維持,表面の結晶相の状態,表面処理,ぬれ性の全て影響と化学的相互作用の解析結果を考慮して,臨床における長期耐久性を有しているかどうかを検討する予定である.

次年度の研究費の使用計画

物品(研究材料)の購入が若干先延ばしとなったため.
最終年度に前年度購入できなかった 物品(研究材料)とともに計画どおり購入する.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] ジルコニアの接着における表面処理の有効性と歯冠用コンポジットレジンの接着特性2013

    • 著者名/発表者名
      下江宰司,荒木結子,田上直美,松村英雄,村山 長,二川浩樹,里田隆博
    • 雑誌名

      日本歯科技工学会雑誌

      巻: 第34巻, 第1号 ページ: pp.1-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ジルコニアと前装用陶材の焼付温度におけるアルミナブラスト処理の効果と焼成速度の影響2013

    • 著者名/発表者名
      岩畔将吾,下江宰司,千葉祐嗣,大倉啓孝,里田隆博
    • 雑誌名

      日本歯科技工学会雑誌

      巻: 第34巻, 第1号 ページ: pp.8-14

    • 査読あり
  • [学会発表] Influence of air-abrasion and subsequent heat treatment on bonding between Ce-TZP/Al2O3 nanocomposite2013

    • 著者名/発表者名
      Kou Shintani, Saiji Shimoe, Yuri Kanou, Shogo Iwaguro, Takahiro Satoda
    • 学会等名
      The 5th International Congress of Dental Technology, The 35th the meeting of the Nippon Academy of Dental Technology
    • 発表場所
      Daejeon, Korea
    • 年月日
      20130705-20130707
  • [学会発表] Effect of surface treatment on bonding of indirect composite to Ce-TZP/Al2O3 nanocomposite2013

    • 著者名/発表者名
      Yuri Kanou, Saiji Shimoe, Kou Shintani, Shogo Iwaguro, Takahiro Satoda
    • 学会等名
      The 5th International Congress of Dental Technology, The 35th the meeting of the Nippon Academy of Dental Technology
    • 発表場所
      Daejeon, Korea
    • 年月日
      20130705-20130707
  • [学会発表] The effect of polishing process and polishing time on surface roughness and specular gloss of Ce-TZP/Al2O3 nanocomposite2013

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Kobayashi, Saiji Shimoe, Takahiro Satoda, Hiroki Nishida, Namiko Kayama
    • 学会等名
      The 5th International Congress of Dental Technology, The 35th the meeting of the Nippon Academy of Dental Technology
    • 発表場所
      Daejeon, Korea
    • 年月日
      20130705-20130707

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公開日: 2015-05-28  

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