研究課題
本研究は、通常は細菌やウィルスに対して静菌的に働き、微生物が生体に為害性を示す状態の時にだけ滅菌作用を示す歯科材料の開発を目指すものである。口腔内において、この目的のために、もっとも適した薬剤が二酸化塩素をベースにしたものであると考えられる。二酸化塩素は、幅広い抗菌スペクトルときわめて低濃度で強力な殺菌力を有することが知られている。さらに、二酸化塩素は、次亜塩素酸ナトリウムのように発ガン性物質であるトリハロメタンを生じることがなく安全性が高いといわれている。二酸化塩素は、即効性が強く耐性菌が生じにくいとされており、申請者らの研究成果においても次亜塩素酸ナトリウムと違ってヒト培養細胞に対して細胞毒性が少なく、アポトーシスも起こさないことが明らかになっている。また、二酸化塩素は、水溶液中でガス状とイオン性の性質を併せ持っており、酸性側ではガス状で細菌の細胞壁の脂質層を透過し細胞質および核の活性を阻害する。アルカリ性側ではイオン状態で細菌の細胞壁を攻撃する。細菌に対する消毒効果は酸性側のガス状の二酸化塩素水のほうが数百倍も強い。そこで、前年度、為害性を示す細菌類の増殖、分化およびバイオフィルム形成期における酸産生能を明らかにした成果をふまえ、当該年度においては、細菌が酸産生能を有したときに、より強力に滅菌効果を示す機能的消毒薬の発生装置の開発を行うことができ、特許の申請をおこなうことができた。
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Pharmacognosy Magazine
巻: 10 ページ: 125-131
10.4103/0973-1296.131023.