研究課題/領域番号 |
24592932
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
櫻井 薫 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20153950)
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研究分担者 |
山田 将博 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90549982)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 骨再生 / リン酸三カルシウム / 骨芽細胞 / コラーゲン |
研究概要 |
効果的な新規骨生体材料の開発は骨再生治療を発展させ、インプラント治療の適応拡大につながる.しかし未だ良好な付形性、高い機械的強度および良好な生体親和性を全て具備した生体材料はない.本研究の目的は、前臨床試験として、厚生労働省認可材料のコラーゲンスポンジとベータ型リン酸三カルシウム(b-TCP)を組み合わせたコラーゲン/b-TCP複合体がラット頭蓋骨骨欠損モデルの骨治癒に与える影響を検証することで、このb-TCPコラーゲン複合体の骨増生術における有効性を検証することである.b-TCPコラーゲン複合体もしくは対照のコラーゲンスポンジを直径5.0㎜のラット頭蓋骨欠損へ埋入した.術後4および8週に組織学的および組織形態計測学的評価を行った.術後4週において,b-TCPコラーゲン複合体は,生体内崩壊するとともに,材料内外から骨芽細胞と結合組織様組織の侵入を受けた.最終的に,b-TCPコラーゲン複合体は埋入部位の体積を減少させずに緻密で厚い成熟骨組織に置換された.一方,対照コラーゲンスポンジを埋入した骨欠損内では,薄い線維様組織のみ観察された.b-TCPコラーゲン複合体は,ラット頭蓋骨クリティカル・サイズ骨欠損において,材料内部で骨梁形成をうけ,その後,成熟骨組織に完全に置換された.これら所見は,b-TCPコラーゲン複合体の優れた骨伝導性,生体内崩壊性および骨刺激活性を支持するものであった.本研究結果により、このb-TCPコラーゲン複合体は、臨床操作が行いやすい付形性と軟組織からの圧力に耐えうる適度な機械的強度を示しつつ、すぐれた骨伝導能と生体内崩壊性を発揮する理想的な骨補填材料となりうること、抜歯後のソケットプリザベーションや歯槽骨造成術における有効な骨補填材料となりうることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的であるb-TCPコラーゲン複合体充填後のラット頭蓋骨クリティカルサイズ骨欠損の治癒中期までの骨形成過程および生体内崩壊性に関する詳細な組織学的および組織形態計測学的評価を行うことができており、また、当初の仮説の通りの良好な結果が得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
治癒晩期(術後8および10週)の組織学的観察および骨形態計測評価を行うとともに、同様の実験モデルを用いて、すでに臨床応用されている類似したコラーゲン・無機材料複合体との組織学的・組織形態計測学的比較研究を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験用ラット、実験サンプルであるコラーゲンスポンジならびに既存のコラーゲン無機物複合体材料、コラーゲン/β-TCP複合体および動物実験・組織切片作成関連の消耗品の購入を予定しており、小計で495,000円となり、国際学会での発表の2名分の旅費として、400,000円を予定しているため、合計で、895,000円を予定している。
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