研究課題
効果的な新規骨生体材料の開発は骨再生治療を発展させ、インプラント治療の適応拡大につながる.しかし未だ良好な付形性、高い機械的強度および良好な生体親和性を全て具備した生体材料はない.本研究の目的は、前臨床試験として、厚生労働省認可材料のコラーゲンスポンジとベータ型リン酸三カルシウム(b-TCP)を組み合わせたコラーゲン/b-TCP複合体がラット頭蓋骨骨欠損モデルの骨治癒に与える影響を検証することで、このb-TCPコラーゲン複合体の骨増生術における有効性を検証することである.b-TCPコラーゲン複合体、対照の脱タンパク牛骨顆粒コラーゲン複合体を直径5.0㎜のラット頭蓋骨欠損へ埋入した.術後10週に組織学的および組織形態計測学的評価を行った.術後10週において,b-TCPコラーゲン複合体は埋入部位の体積を減少させずに密で厚い成熟骨組織に置換された.一方,脱タンパク牛骨顆粒コラーゲン複合体を埋入した骨欠損内では,新生骨の形成量は少なく、顆粒を取り囲むように未成熟の骨組織が観察されたのみであった.b-TCPコラーゲン複合体は,ラット頭蓋骨クリティカル・サイズ骨欠損において,材料内部で骨梁形成をうけ,その後,成熟骨組織に完全に置換された.これら所見は,b-TCPコラーゲン複合体の優れた骨伝導性,生体内崩壊性および骨刺激活性を支持するものであった.本研究結果により、このb-TCPコラーゲン複合体は、臨床操作が行いやすい付形性と軟組織からの圧力に耐えうる適度な機械的強度を示しつつ、すぐれた骨伝導能と生体内崩壊性を発揮する理想的な骨補填材料となりうること、抜歯後のソケットプリザベーションや歯槽骨造成術における有効な骨補填材料となりうることが示唆された。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究の目的であるb-TCPコラーゲン複合体充填後のラット頭蓋骨クリティカルサイズ骨欠損の治癒晩期までの骨形成過程および生体内崩壊性に関する詳細な組織学的および組織形態計測学的評価を行うことができており、また、当初の仮説の通りの良好な結果が得られているため
b-TCPコラーゲン複合体の既存のコラーゲン無機骨複合体よりも高い骨伝導性がラット頭蓋骨クリティカルサイズ骨欠損における骨再生の有効性が示されたため、今後は、細胞培養試験を用いて、動物実験結果を後押しするb-TCPコラーゲン複合体が骨芽細胞の機能に与える影響を細胞生物学的に解析する予定である。
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