研究課題/領域番号 |
24592933
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
小峰 太 日本大学, 歯学部, 講師 (90287657)
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研究分担者 |
松村 英雄 日本大学, 歯学部, 教授 (40199857)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コンポジット前装ジルコニア修復物 / インプラント上部構造 / 破壊強度 |
研究概要 |
インプラント支持のコンポジット前装ジルコニア修復物の破壊抵抗に関する検討、評価を行った.大臼歯欠損に対するインプラント治療を想定し,インプラント体をポリエステル樹脂に植立し,チタン製アバットメントをインプラント体に装着した.インプラント上部構造は,1 ジルコニアフレームに間接修復用コンポジットを前装したクラウン(コンポジット前装ジルコニアクラウン),2 ジルコニアフレームに陶材を焼き付けたクラウン(ジルコニアオールセラミッククラウン),3 金属フレームに陶材を焼き付けたクラウン(陶材焼付金属冠)の3種類を製作した。さらに,コンポジット前装ジルコニアクラウンはエステニアオペークプライマー(EOP)塗布の有無で2群に分け,計4条件とした。それらに対して,破壊強度試験を行った。 その結果,EOP塗布群のコンポジット前装ジルコニアクラウンの破壊強度(2.8 kN)は,陶材焼付冠(3.1 kN),ジルコニアオールセラミッククラウンの破壊強度(3.1 kN)と有意差は認められなかった。したがって,EOP塗布群のコンポジット前装ジルコニアクラウンは陶材焼付冠,ジルコニアオールセラミッククラウンと同程度の破壊強度を有することが示唆された。 EOP未塗布群のコンポジット前装ジルコニアクラウンの破壊強度(2.5 kN)は,他のグループに比較し有意に低い値を示した。また,ジルコニアオールセラミッククラウン,EOP塗布群のコンポジット前装ジルコニアクラウン同様の破壊形式であったが,EOP未塗布群のコンポジット前装ジルコニアクラウンは,フレームからの前装部分の剥離が他の郡に比較し多く観察された。以上より,ジルコニアに間接修復用コンポジットを前装する際に,疎水性リン酸エステルを含むプライマーによる表面処理を行うことがコンポジット前装ジルコニアクラウンの破壊強度の向上に有効であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度は,インプラント支持のコンポジット前装ジルコニア修復物の破壊抵抗に関する検討、評価を行うことが当初の予定であった。研究は予定通りに進行して,研究結果の解析,分析,さらには論文作成まで終了している。また,研究成果については,論文作成を行い,現在,国際誌に投稿中である。 さらに,次年度の研究予定である,インプラント支持のコンポジット前装ジルコニア修復物の長期安定性についての研究もすでに着手して,進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載された研究計画したがい,平成24年度の研究を発展させる。インプラント支持のコンポジット前装ジルコニアクラウンの長期経過安定獲得の要件を検討する為に,平成24年度に実験した条件に加え,クラウンに対して繰り返し過重および熱的過重を付与し,クラウンの破壊強度の耐久性を評価する。 さらに,ジルコニアフレームワークの形態の違いによるインプラント支持のコンポジット前装ジルコニアクラウンの破壊抵抗に関する検討を並行して行う。この研究を遂行し,より臨床的に長期間安定したコンポジット前装ジルコニアクラウンの製作方法を明らかにし,インプラント上部構造としてのコンポジット前装ジルコニアクラウンの臨床応用を進める準備を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度も昨年度と同様に,破壊試験を行うために消耗品(インプラント体,試料作製材料(包埋材、石膏),ジルコニアフレーム,前装材料(陶材、間接修復用コンポジット)など)を購入して,実験を継続する. 昨年度,今年度で得られた研究成果を取りまとめて,国内および国際歯科学会にて,これまでに研究成果を発表する予定である.そのための旅費が発生する.さらに,国際誌に投稿予定であるため,論文原稿を作成後,雑誌投稿前に英文校閲が必要となるため,その費用を計上する.
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