研究課題/領域番号 |
24592934
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松村 英雄 日本大学, 歯学部, 教授 (40199857)
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研究分担者 |
小泉 寛恭 日本大学, 歯学部, 講師 (20339229)
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キーワード | 接着 / チタン / チタン合金 / プライマー |
研究概要 |
近年, 純チタンの特徴の一つである生体適合性を損なうことなく,機械的物性を改善すべく,様々なチタン合金が開発されてきている。その結果,Ti-6Al-7Nb合金やTi-15Mo-5Zr-3Al合金など数種類のチタン合金が臨床に応用されてきている。これらの合金は生体に応用されてから日が浅いため,臨床的諸性質の解明が急務である。今回我々は,チタン合金の接着,接合に着目し,系統的な基礎研究を行うことにより,国民に長期間にわたる安定した補綴装置を提供することを目的とする。 被着体試料は,Ti-6Al-7Nb合金やTi-15Mo-5Zr-3Al合金を選択し,その構成元素であるアルミニウム,ニオブ,モリブテン,ジルコニウムを使用した。さらに,高純度チタン,貴金属合金,貴金属元素金属を比較対象とした。 平成25年度は,比較対象である貴金属合金の臨床成績を報告した。さらには,Ti-6Al-7Nb合金およびTi-15Mo-5Zr-3Al合金の接着には,リン酸エステル系モノマーを含むプライマーの有用性が明らかとなった。また,一部の構成元素には,リン酸エステルの効果が認められないものもあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において被着体として採用したチタン合金は,Ti-6Al-7Nb合金およびTi-15Mo-5Zr-3Al合金である。また構成成分であるアルミニウム,ニオブ,モリブテンおよびジルコニウムを使用した。さらに比較対象として,高純度チタン,貴金属合金,貴金属構成元素を用いた。 平成25年度は,チタン合金へのリン酸エステル系モノマーの有用性と一部の構成元素のリン酸エステル系モノマーの効果が認められないことが明らかとなってきている。また比較対象である貴金属製補綴装置の長期臨床成績を報告した。
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今後の研究の推進方策 |
本項目は接着耐久試験を行うことから,実験施行期間が長い。従って3年間の研究期間を設定している。本年度は,チタン合金のプライマー処理面の化学的解析を行うことにより接着機構を明らかにすることを目的とする。 歯科用金属として既に臨床応用されている,Ti,Ti-6Al-7Nb合金および機械的物性を改善したTi-15Mo-5Zr-3Al合金を主たる金属試料とし,さらにその構成元素である,アルミニウム, ニオビウム, モリブテン, ジルコニウムを試料として使用する。 金属試料表面の化学的解析は,表面分子の定性および定量分析が可能であるX-ray photoelectron spectroscopy を使用する。金属試料表面のモノマー分子の残留を解析することにより,接着に有効なモノマーが探索できると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究に必要な物品費を計画当初よりも安価に購入できたため,次年度使用額が生じた。 次年度使用額は,表面解析に関して必要な金属,研磨紙,各種プライマー,アセトン,精密切断用ダイヤモンドブレードといった消耗品が必要である。 得られた結果を広く世に発表するため,英文にて論文発表予定であり,英文校正料が必要である。
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