機能性モノマーの種類がチタン合金,貴金属合金と構成元素の接着耐久性に及ぼす影響について,系統的な基礎研究を行い,平成26年度は以下の研究成果を得ることができた。
Ti-6Al-7Nb 合金に関しては,過去に申請者らが機能性モノマーと接着耐久性の関係を報告した。しかし,その後は詳細な検討は行われていない。またTi-6Al-7Nb 合金よりも強度を持つとされるβ型Ti-15Mo-5Zr-3Al 合金においては,検討すらされていないのが現状である。本研究ではカルボン酸モノマーについて,芳香族と脂肪族の相違を評価し,次に分子内にリンを含むモノマーを使用し,リン酸エステル,ホスホン酸エステルなど,化学種の相違を評価した。その他,チオン,チオールなど,酸以外のモノマーについても評価を行い,官能基の種類と元素金属への接着の関係について考察を展開した。 接着材料として本体に機能性モノマーを含まないアクリル系MMA-TBB レジンを使用した。このことにより,プライマーに含まれる機能性モノマーと接着耐久性の関係を鮮明に結論づけられた。被着体,プライマーを組み合せ,実験系を構築した。短期水中浸漬後にせん断接着強さを測定し,比較対照値とした。この後,熱サイクル試験機を用いて試料に水中熱サイクルを負荷し,接着界面の剥離に対する抵抗性,すなわち接着耐久性を評価した。 短期水中浸漬後および水中熱サイクル後の結果から,Ti-15Mo-5Zr-3Al 合金に対して,リン酸エステルを含有したプライマーの使用が接着耐久性を示し,そのせん断接着強さは,18.2 MPaから19.5 MPaであった。またTi-6Al-7Nb 合金およびTi-15Mo-5Zr-3Al 合金のMoを除いた構成元素金属に対して,リン酸エステルを含有したプライマーの使用が接着耐久性を示した。
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