研究課題/領域番号 |
24592936
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
成田 紀之 日本大学, 歯学部, 准教授 (10155997)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 口下顎ジストニア / ボトックス治療 / 顎筋活動 / 感覚運動皮質活動 / NIRS計測 |
研究概要 |
平成24年度に実施した研究の成果について 1.具体的内容:本学付属病院顎脳機能センター神経歯科外来を受診した口腔顔面領域の不随意運動症対象として、障害部位と障害程度の評価、心理的要因と認知度の評価を行い、不随意運動症の病態把握を行っている。ボトックス治療前後の機能検査では、下顎運動(MKG K6I, Myotronics Co.)ならびに顎筋活動(NEC Co.)と感覚運動皮質の活動性について、脳血流計測 (fNIRS ETG-100, HITACHI Co.)を行っている。 2.意義:口腔顔面領域の不随意運動症患者の口腔機能については、皮質活動までも包含したシステム神経科学(顎口腔機能のシステム評価)が有用と考えられるが、未だ系統だった研究は実施されていない。本研究は、将来の学際的、すなわち歯科・医科連携による、顎口腔機能治療の“さらなる確立”に繋がるものである。 3. 重要性:現在、口下顎ジストニアを対象として、ボトックスの治療効果を顎運動ならびに、かかわる感覚運動皮質の活動性から評価している。これまでの、いくつかの口下顎ジストニア症例では、ボトックスの治療後に、不随意運動の抑制とかかわる皮質活動性の低下が示されている。今後、さらに検討を加えることで、障害部位とかかわる皮質領域の特異性を明らかにできると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の目的は、不随意運動症に対するボトックス治療ならびに運動療法が、1)如何に不随意運動と、かかわる感覚運動皮質の活動性を調整するものか、そして、2)不随意運動症の治療経過において、運動障害様相と皮質活動性が如何なる関連を有するか、さらには、3)障害の部位とかかわる動作特異性を有するものであるか、などを明らかとすることにある。 本年度は、すでに、ボトックス治療において、伝統的な顎口腔機能検査(筋電図、顎運動)と脳血流計測(NIRS計測)を併用することで、不随意運動の発現と皮質活動性の関連、ならびにボトックス治療前後における顎運動異常の鎮静と皮質活動の可塑的変化、について検討を開始できている。 これらのことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
初年同様に、本年度も口下顎ジストニアを対象とした臨床研究を推進するが、さらに、その精神心理的治療効果、ならびに感覚障害とのかかわりについても検討を加える。すなわち、不随意性の運動障害では、とくに口腔領域の特異性からか、術後の筋緊張の軽減にもかかわらず、感覚的障害(違和感)を強く訴える患者が散見される。これには、病悩の長期化から生じる精神心理的影響(身体化)の可能性が考えられ、今後、感覚的要素についても併せて検討して行く所存である。さらに、頭蓋磁気刺激(TMS)を応用した治療も開始しており、感覚運動皮質へのTMS治療効果についてもNIRS計測から検討する考えである。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、ボトックスの治療効果について、顎運動ならびに脳血流のかかわりから研究報告を国際学会(Dys-Spas-Bot, Denmark 7-9/6/2013))で行う予定である。さらに、頭蓋磁気刺激法については、その技術的向上を目的にハバード大学(Intensive Course in Transcranial Magnetic Stimulation, 28/10/2013~1/11/2013)における集中研修を予定している。
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