研究の目的:本研究では口腔顔面領域の不随意運動症(口顎ジストニア)の治療における皮質活動性の可塑的変化とその障害特異性を明らかとする。 研究実施計画:1.口顎ジストニアの実態を把握する。2.口顎ジストニアの治療に際して、感覚トリックと皮質活動性の関連を明らかとする。3.口顎ジストニアのボトックス治療による皮質活動性への影響を明らかとする。4.口顎ジストニアのボトックス治療による精神心理的効果を明らかとする。 最終年度に実施した研究の成果の概要:内容)口顎ジストニアにおいて、感覚トリックによる皮質活動性の変化を明らかとした。さらに、ボトックス治療による皮質活動性の可塑的変化ならびに精神心理学的治療効果を明らかとした。意義)感覚トリックによって運動前野、感覚野、BrocaとWernickに有意な活動性の低下を生じた。また、ボトックス治療によって、運動前野、感覚運動皮質、ならびに BrocaとWernickに有意な活動性の低下を生じた。さらに、ボトックス治療による精神心理学的な治療効果を認めた。重要性)感覚トリックはジストニアの診断上有用で、とくに外側翼突筋や舌筋の障害を有するジストニアの診断に有用と考えられた。また、ボトックス治療による皮質活動性の低下を明らかにできたことは、今後、ボトックス治療の効果判定ならびに経頭蓋磁気刺激の臨床応用にとって大変に有用と考える。さらに、ボトックス治療による精神心理学的な治療効果は、今後、口顎ジストニアの病態把握ならびにボトックス治療の評価にとっても大変に有用である。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果の概要:本研究の遂行によって、口腔顔面領域の不随意運動症(口顎ジストニア)に対するボトックス治療の実際とその皮質活動性への効果、さらには精神心理的影響に関する研究報告が今後可能となった。
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