本研究では、口顎ジストニアにおける感覚トリックによる異常筋活動と、かかわる一次感覚運動皮質活動の変調について検討したところ、口腔内へ飴を含むなどで、異常筋活動は軽減し、併せて一次感覚運動皮質の活動性も低下した。また、ボットクス治療によっては、顎口腔の異常筋活動は明らかに軽減し、併せてかかわる一次感覚運動皮質の活動性も低下した。このとき、ジストニアスケールや咀嚼困難の自覚も軽減し、痛みやうつスコアにも有意に低下した。以上のことから、感覚トリックとボトックス治療はいずれも感覚運動皮質の変調をともない、さらにボトックス治療では運動性ばかりか非運動性の痛みや精神心理的症状への治療効果も期待された。
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