本研究課題の目的はCT画像情報を応用し,口腔内,顎顔面頭蓋および顎関節構造の形態や機能に調和したVR全部床義歯の制作が可能なCAD/CAMシステムの構築である. 平成24年度の成果報告においては,CTからの義歯形態の抽出が困難であったことから,患者が現在使用している義歯の形態を三次元表面形状測定装置から採得し,このデジタルデータを元にCAD/CAMを用いてDigital Duplicate Denture(CAD/CAM義歯)を作成,CAD/CAMシステムによる義歯製作が可能であったことを報告した.VR上で義歯床部と人工歯部を分離した設計を行うことで義歯床部にはレジン,人工歯部にはPressable Ceramicを用いた義歯である.平成25年度には,義歯を製作する三次元データに大きく影響する三次元表面形状測定装置の精度検証を行い,臨床応用可能であることを確認した.平成26年度は使用する材料の検討からCAD/CAM義歯の適応の拡大を探る予定であったが,材料実験を予定していた機器の調整が遅れた.そのため,三次元表面形状測定装置のハンディタイプ(口腔内スキャナー)を使用することで,印象採得なしに直接口腔内の形状を採得し,本システムのデジタル化を進めることとした.口腔内スキャナーを含めたCAD/CAMシステムはこれまでの技工術式とは全く異なる工程となることや,口腔内スキャナーの国内の使用実績が少ないことから,口腔内スキャナーの試用し,その精度や性質について検討を行った.
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