研究課題/領域番号 |
24592940
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
石川 朱見 鶴見大学, 歯学部, 臨床助手 (60611358)
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研究分担者 |
大久保 力廣 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10223760)
山根 明 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20166763)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | サルコペニア / オートファジー / 骨格筋 |
研究概要 |
骨格筋培養細胞系であるC2C12を用いて、Mirvana inhibitor (Life Technologies)による遺伝子機能抑制実験の条件を確立するため実験を行った。加えて、老化モデルマウスの咬筋、舌筋、腓腹筋におけるLC3、GABARAPの発現量を解析しオートファジーとサルコペニアの関係を明らかにすることを試みた。 C2C12筋芽細胞を10%牛胎仔血清を含む増殖培養液中で3日間培養した。培養開始時より培養液に1.2nMのMirvana inhibitorを添加した。培養液は2日目に交換した。細胞増殖の測定にはCellTiter AQueous One Solution CellProliferation Assay (Promega)を用いた。4週齢の老化モデルマウスを安楽死させ、咬筋、舌筋、腓腹筋を摘出した。摘出した筋標本より蛋白質を抽出し、SDS-PAGE、Western blotting法を行いLC3、GABARAPの発現量を測定した。 Mirvana inhibitorで処理したC2C12筋芽細胞の増殖はNegative controlで処理したものと比較して、その増殖はほぼ100%抑制された。老化モデルマウスの筋重量は野生型マウスと比較して顕著に減少していた。老化モデルマウスの咬筋、舌筋におけるLC3、GABARAPの発現量およびオートファゴソーム数は野生型マウスと比較して増加していた。しかし、腓腹筋には老化モデルマウスと野生型マウスの間に顕著な差は観察されなかった。 以上の結果から、Mirvana inhibitor (Life Technologies)による遺伝子機能抑制実験の条件はほぼ確立されたと思われる。また、咬筋、舌筋の老化によるサルコペニアはオートファジーと関係していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書には平成24年度の目的は骨格筋培養細胞系であるC2C12を用いて、LC3やGABARAPの発現抑制に有効なshRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドを明らかにする実験を行うと同時に、平成25年度以降に使用する野生型マウスの飼育を開始することであると記載した。実際にはMirvana inhibitor (Life Technologies)による遺伝子機能抑制実験の条件はほぼ確立されたと思われる。野生型マウスの代わりに老化促進マウスをもちいて実験を行い咬筋、舌筋の老化によるサルコペニアはオートファジーと関係していることを示唆した。交付申請書に記載した目的とは多少異なるが、研究全体の目的に向かってはほぼ順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
最近、骨格筋をふくめた多くの組織、器官の発生、再生の調節や疾患の発症機序にmicroRNAやエピジェネシスによる調節が重要な役割を果たしていることを示す報告が増えてきている。このことからサルコペニアの発症機序にもmicroRNAやエピジェネシスによる調節が関与している可能性がある。本研究の最終目的であるサルコペニアの発症抑制法の開発を推進するためにはmicroRNAやエピジェネシスによる調節機序を明らかにする必要があると考えられる。よって、今後はmicroRNAやエピジェネシスとサルコペニアの発症機序の関連に焦点をしぼって研究を推進する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、遺伝子機能を抑制するために数種類のshRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどテストする予定であったが、幸いなことに最初にテストしたアンチセンスオリゴヌクレオチドの一種であるMirvana inhibitorがうまく機能したため167,689円の次年度に使用できる研究費が生じた。この研究費は次年度の研究費と合わせてエピジェネシス解析のために使用する予定である。
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