研究課題
われわれは室温での濃アルカリ水溶液中下で純チタン金属表面上にナノシート構造(TNS)が析出し,細胞の骨分化誘導能に影響することを報告した.今回のような表面制御がチタン合金にも応用できれば,どのインプラント材料においてもオッセオインテグレーション期間を短縮することが可能となる.そこで,本研究ではインプラント材料として使用される代表的なチタン合金の一つであるTi-6Al-4V表面上にTNSを形成し,骨髄細胞の硬組織分化誘導能について比較・検討を行った.実験群としてナノシートを析出させた市販のTi-6Al-4V合金を使用し,対照群として#2000まで研磨した同材料を使用した.SEM,SPMの観察では対照群で平坦な像が観察されるのに対し,実験群においてナノメーターレベルのネットワーク構造が形成された.XPSの観察では深い酸化膜の層が形成されているのに加え,表層からはバナジウムの析出が見られなかった.濡れ性は実験群で低い接触角を示し,細胞接着数の比較では,全ての計測時間で実験群は対照群と比較して有意に高い値を示した.実験群においてウシ血清アルブミンの吸着量が有意に高い値を示し,すべての計測時間でALP活性,オステオカルシン産生量,カルシウム析出量,Runx2 mRNAの発現が有意に高い値を示した.以上の結果により,チタン合金においても,純チタン金属と同様に,ナノレベルでの表面改質が骨髄細胞の硬組織への分化誘導の向上に有用であるという可能性が示唆された.
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件)
Journal of Nanomaterials
巻: 2014 ページ: -
http://dx.doi.org/10.1155:642527
Journal of Osaka Dental University
巻: 48(2) ページ: 133-139