研究課題
基盤研究(C)
本研究では、フラーレンやカーボンナノチューブ(以下、CNT)などの炭素系ナノ微粒子(ナノカーボン)のバイオ応用の可能性を検討する為に、まずナノカーボンの親水化処理を行い、その生体物質・細胞への影響の検討、また体内動態の可視化を試みた。CNTの表面性状の差異による生体分子との相互作用への影響について検討するため、親水化処理前後のCNT誘導体に対するタンパクの吸着挙動を検討した。表面電荷の異なる2種類のタンパクを、未修飾/カルボキシル化CNTへと添加したところ、その吸着挙動に違いがみられた。今後は、用いるタンパクの種類を増加させることにより、タンパクの表面電荷、形状や分子量による効果や、更なるCNTへの表面修飾を行い、CNT表面とタンパク、生体分子との相互作用の機構の解明を試みる。また、CNTと細胞との相互作用について検討するために、CNT誘導体暴露下で培養した骨芽様細胞の表面状態を原子間力顕微鏡により観察した。その結果、細胞へのCNT誘導体の取り込みは確認されず、細胞表面にCNTが付着している様子が観測された。さらに、CNTなどのナノカーボンの生体内での分布をより簡便に可視化するため、顕微ラマン法を用いた臓器内に滞留しているCNTの直接観測を試みた。親水化CNTを投与したマウスの臓器(肺、肝臓)から、CNT由来のラマン信号の検出に成功した。今後は更なる条件検討を行い、臓器内分布のラマンマッピングの測定を試みる。また、CNTの生体適合性の評価を行う際の対象物質として、長さや直径を制御可能なフラーレンC60ナノウィスカーを作成、光照射によるC60分子間重合による高機能化にも着手している。
2: おおむね順調に進展している
24年度の研究課題としてあげていた、3つの課題(親水性ナノカーボンの作成、生体物質との相互作用機構、生体為害性の検討と体内胴体の可視化)について一定の成果を得ることが出来た。また25年度以降の課題としてあげた新規な可視化法の検討にも着手することが出来、顕微ラマン方による可視化の第一歩に成功した。
24年度に引き続き、ナノカーボンの生体適合性についての検討を行うとともに、それらの成果を基に、バイオマテリアルへの応用、多機能ナノカーボンへの展開を試みる。また新規な体内動態の可視化法の開発についての検討も行う。
設備・装置などに関しては出来るだけ所属部局・研究室および学内外の供用施設を利用して研究を推進する。供用設備の使用料金や消耗品については、本研究費を用いて遂行する。また本研究に関する情報収集・研究成果発表のために国内外学会に積極的に参加し、それらの成果を学術論文として報告していく予定である。24年度末に会計システムの不具合が生じ、年度内に決算が終了せずに、予算の未使用が生じたが、その後、それらの処理を行い、現在は概ね計画通りに研究予算の執行をしている。その為、25年度での使用については当初の計画通りの執行を予定している。
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すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 15件) 学会発表 (16件) 備考 (1件)
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