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2012 年度 実施状況報告書

セルフクリーニング機能を有する歯科用インプラントの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24592948
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東北大学

研究代表者

高橋 正敏  東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50400255)

研究分担者 高田 雄京  東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (10206766)
依田 信裕  東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20451601)
菊地 聖史  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50250791)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードチタン合金 / インプラント / 抗菌性 / 生体適合性 / セルフクリーニング / チタン銀合金 / バイオフィルム
研究概要

本研究課題では、歯科用チタン銀合金開発の一環として、(1)動物実験を行い、セルフクリーニング機能を有する歯科用インプラントを開発するとともに、(2)チタン銀合金におけるバイオフィルム形成抑制メカニズムを解析し、新たな機能性合金を開発するための基礎を構築することを目的とする。
平成24年度は、従来の研究成果を基にチタン銀合金の合金設計をし、合金の試作を行った。表面特性試験を行い、チタン銀合金とチタンの表面性状の違いを調べた。また、インプラント埋入試験に用いるインプラントの形状を決定し、チタン銀合金製インプラントを作製した。さらに、インプラント埋入試験に用いるイヌの抜歯を行った。
【合金の試作】金属元素を設計した合金組成となるように秤量し、アルゴンアーク溶解炉を用いて溶解して、ボタン状の合金インゴットを試作した。【変色試験】Na2S水溶液、NaCl水溶液、乳酸水溶液、ポビドンヨード溶液における変色試験を行った。浸漬前後の試料のL*a*b*値を色彩色差計で測定し、色差を算出して評価した。チタン銀合金の耐変色性は、各溶液において純チタンと同等であることが分かった。【インプラントの加工】数種類の円柱状のインプラントをデザインし、鋳造加工と旋盤加工によりチタン銀合金製のインプラントを作製した。加工面の表面粗さを調べ、最後は研削加工で仕上げた。埋入試験に用いるインプラントは、φ3.25 mm×8.0 mmの形状に決定した。【インプラント試験】実験用動物(イヌ)の下顎前臼歯を左右3本ずつ抜歯した。3ヶ月の治癒期間を経た後に、試作インプラントを埋入する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

表面特性試験のひとつである変色試験は予定通り遂行した。今後さらにEPMAとXPSによる表面分析を行い、論文を作成する予定である。
インプラント埋入試験は予定より遅れている。以下の3点の問題により、インプラントの形状と加工方法の決定までに時間がかかり、その次のステップに進むことができなかった。1.鋳造時の巣の発生、2.インプラント直径を細くしたときの旋盤加工精度の低下、3.研削加工時の仕上げ面性状の不均一さ。試作を繰り返した結果、問題は解決し、インプラント埋入試験に用いるためのチタン銀合金製インプラントは完成した。また、動物実験施設のイヌのケージに空きが無かったため、実験開始までに時間がかかってしまった。動物実験の開始後は概ね順調であり、平成25年度のはじめには、計画通りインプラント埋入を行う予定である。追加分のイヌのケージもすでに確保しており、今後は予定通り進むものと思われる。そこで、現在までの達成度は、やや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

初年度に続いてインプラント埋入試験と各種表面特性試験を進めると同時に、バイオフィルム形成試験を行う。
【インプラント埋入試験】予め抜歯を済ませた実験用動物(イヌ)の下顎骨に、チタン銀合金製インプラントを埋入する。埋入本数は左右に2本ずつとし、1体につき4本埋入する。埋入期間は1ヶ月あるいは3ヶ月とし、各埋入期間ごとに実験用動物を屠殺し、周囲軟組織を除去し、顎骨を取り出す。取り出した顎骨のCT撮影をした後、埋入部周囲組織の連続切片を、切断装置で作製し、組織標本作製用試薬・器具を用いて組織学的観察を行い、生体内でのチタン合金の生体適合性について検討を行う。【変色試験】変色試験後の試料について、EPMAとXPSにより表面分析を行う。【バイオフィルム形成試験】細菌培養試験用品を用いて、試作合金をスクロース含有液体培地に浸漬し、バイオフィルム形成細菌を嫌気培養する。表面に形成されたバイオフィルムを回収して蒸留水に懸濁し、分光光度計で濁度を測定することで、バイオフィルム量を推定する。結果は純チタンおよび歯科用合金と比較する。

次年度の研究費の使用計画

研究の進行度の遅れにより、初年度の研究費の一部が次年度に持ち越しになった。持ち越し分の研究費は、実験動物(イヌ)の購入費と飼育費に使われる予定である。
表面特性試験で使用する試料包埋・研磨用品(包埋用レジン、耐水研磨紙など)やチタン銀合金製のインプラントを作製するための切削工具、細菌培養試験用品(チップ、培地、シャーレなど)は、いずれも本研究を進める上で定常的に消費されるものであり、必要に応じて購入する。実験評価の参考書として、材料関係図書・規格書を購入する。旅費は国内外での研究打ち合わせと成果発表、また外国語論文校閲と投稿料は英文誌への論文発表を行うために使用する。機器の使用量は外部の分析機器(濡れ性試験のための静的および動的濡れ性測定装置や、変色試験の試料を分析するためのXPS)を借用するために使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ブラシ研磨による歯科用純チタンおよびTi-Ag合金の精密研磨2012

    • 著者名/発表者名
      田中大資,佐藤秀明,佐藤秀樹,石戸谷重晴,石幡浩志,小松正志,高橋正敏
    • 学会等名
      日本歯科保存学会
    • 発表場所
      徳島
    • 年月日
      20121122-20121123

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公開日: 2014-07-24  

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