研究課題/領域番号 |
24592949
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
飯久保 正弘 東北大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (80302157)
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研究分担者 |
笹野 高嗣 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (10125560)
小嶋 郁穂 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80447169)
阪本 真弥 東北大学, 大学病院, 講師 (90157686)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 再生歯学 / IGF-I |
研究概要 |
口腔には顎骨の破壊や吸収を伴う疾患が多く存在し、自家骨や人工骨を用いた再建治療が行われているが、必ずしも満足な結果は得られていない。これまで我々は、「自らが持つ骨形成能による骨再生」を目指し、細胞増殖作用を有するInsulin-like growth factor I(以下IGF-I)に着目した一連の研究を行ってきた。本研究は、IGF-Iの骨形成促進作用に着目し、ナノバブルと高周波超音波装置による最新の遺伝子導入システムを用いて、IGF-I長期発現治療用プラスミド導入による新たな顎骨再生治療を目指すものである。 今年度は、顎骨欠損モデルの作製のために、各週齢のラット下顎臼歯の抜歯と歯槽骨削除を行なってみた。その結果、ラットは5週齢を越すと抜歯が非常に難しくなることや、その抜歯窩は4週間ほどで単純エックス線写真においてもの骨形成が確認できることが明らかとなった。この結果をもとに4週玲ラットの下顎片側臼歯の抜歯を行なうことにより、顎骨欠損モデルを作製することとした。抜歯後、経時的にマイクロCTを撮影し、顎骨欠損部の骨形態変化(骨形成)について検討を行なった。その結果、抜歯1週後においては非常に幼弱な新生骨が確認できるのみであったが、2週後は緻密な骨ができていた。この結果は、今後IGF-Iの骨形成の実験を行なうための基礎的データとなる。 さらに、ナノバブルと超音波を用いたリンパ管内皮への分子導入法の検討をおこなった。リンパ節内のリンパ管や髄洞内にナノバブルとともに蛍光分子を注入し、超音波照射による遺伝子導入を試みたところリンパ管内皮やリンパ管周囲の細胞に蛍光分子を効率的に導入可能であることが示された。本研究結果は、ナノバブルと高周波超音波装置による最新の遺伝子導入システムの可能性を示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、マウス下顎臼歯の抜歯を行ない、顎骨欠損を作製する予定であった。そこで、4週齢マウス下顎第一臼歯の抜歯を行ない、ほぼばらつきなく骨欠損ができるようになった。骨欠損作製後、経時的にマイクロCTを撮影し、顎骨欠損部の形態変化(骨形成)について検討を行なう予定であった。このことに関しては、形態変化(骨形成)のみならず骨密度についての検討も終了している。また、経時的に顎骨を摘出し、顎骨欠損部の治癒過程における、骨芽細胞、破骨細胞、骨密度について、組織切片上で検討する予定であったが、まだ行なわれていない。 一方、ナノバブルと超音波を用いたリンパ管内皮への分子導入法の検討をおこなった。リンパ節内のリンパ管や髄洞内にナノバブルとともに蛍光分子を注入し、超音波照射による遺伝子導入を試みたところリンパ管内皮やリンパ管周囲の細胞に蛍光分子を効率的に導入可能であることが示された。
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今後の研究の推進方策 |
マウス下顎臼歯の抜歯を行ない、経時的に顎骨を摘出し、顎骨欠損部の治癒過程における、骨芽細胞、破骨細胞、骨密度について、組織切片上で検討する。また、IGF-IreceptorやIGF-I結合蛋白の遺伝子発現についてPCRにて解析する。さらにIGF-I投与を行なったマウスに対し、顎骨欠損を作製し、その治癒についてマイクロCTで検討する。さらに経時的に、IGF-I投与を行なったマウスの顎骨欠損を摘出し、骨芽細胞、破骨細胞の組織切片作製を行ない、さらにIGF-Ireceptor やIGF-I結合蛋白の遺伝子発現量をPCRにて解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウス下顎臼歯の抜歯を行ない、経時的に顎骨を摘出し、顎骨欠損部の治癒過程における、骨芽細胞、破骨細胞、骨密度について、組織切片上で検討する。IGF-I投与を行なったマウスに対し、顎骨欠損を作製し、その治癒についてマイクロCTで検討する。さらに経時的に、IGF-I投与を行なったマウスの顎骨欠損を摘出し、骨芽細胞、破骨細胞の組織切片作製を行なう。
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