研究課題/領域番号 |
24592949
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
飯久保 正弘 東北大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (80302157)
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研究分担者 |
笹野 高嗣 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (10125560)
小嶋 郁穂 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80447169)
阪本 真弥 東北大学, 大学病院, 講師 (90157686)
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キーワード | 再生歯学 / IGF-I |
研究概要 |
口腔には顎骨の破壊や吸収を伴う疾患が多く存在し、自家骨や人工骨を用いた再建治療が行われているが、必ずしも満足な結果は得られていない。これまで我々は、「自らが持つ骨形成能による骨再生」を目指し、細胞増殖作用を有するInsulin-like growth factor I(以下IGF-I)に着目した一連の研究を行ってきた。本研究は、IGF-Iの骨形成促進作用に着目し、ナノバブルと高周波超音波装置による最新の遺伝子導入システムを用いて、IGF-I長期発現治療用プラスミド導入による新たな顎骨再生治療を目指すものである。 今年度は、顎骨欠損部に対するIGF-I全身投与の影響を検討した。IGF-I群に対しては、ミニポンプを用いてIGF-Iの持続的全身投与を3週間行なった。対照群に対しては生理食塩水を同様の方法で全身に投与した。これらマウスを用いて、下顎臼歯の抜歯を行ない、顎骨欠損部のマイクロCTを経時的に撮影し、顎骨欠損部の形態変化(骨形成)について検討を行なった。その結果、IGF-I投与群の抜歯窩は新生骨の形成量が対照群に比較して多く、さらに皮質骨の高さの吸収量が少なかった。 本研究結果より、IGF-Iは歯槽骨の形態維持に重要な役割を果たしており、さらに顎骨再生機能を有していることが明らかとなった。IGF-Iの顎骨欠損に対する役割を経時的に検討した研究は国内外を通して初めてであり、本研究結果は、今後の新たな顎骨再生治療につながる重要なものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に我々は、顎骨欠損に対するIGF-Iに役割について、歯槽骨の形態維持および顎骨再生機能を有していることを明らかとした。さらに我々は、リンパ節内のリンパ管や髄洞内にナノバブルとともに蛍光分子を注入し、超音波照射による遺伝子導入を試みたところ、リンパ管内皮やリンパ管周囲の細胞に蛍光分子を効率的に導入可能であることを明らかとしている。よって、IGF-I長期発現治療用プラスミド導入による新たな顎骨再生治療の開発につながる基礎的データはほぼ整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、IGF-Iの投与中のみならず投与中止後についても、顎骨形態についてのマイクロCTによる検討を行なう。また、経時的に顎骨を摘出し、顎骨欠損部の治癒過程における、骨芽細胞、破骨細胞、骨密度について、組織切片上で検討する予定である。さらに、IGF-I長期発現治療用プラスミド導入による顎骨欠損部の形態変化についても検討を行なう予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に行なう予定であった顎骨の骨芽細胞、破骨細胞、骨密度について、組織切片上で検討する実験は、昨年度の段階ではサンプル数が完全にはそろわなかったため、行なわなかった。そのため、染色に必要と判断し申請していた費用を平成26年度繰り越すこととした。 IGF-Iの投与中のみならず投与中止後についても、顎骨形態についてのマイクロCTによる検討を行なう。昨年度に収集したサンプル(IGF-I投与中)と今年度に収集するサンプル(IGF-I投与中止後)の顎骨を用いて、顎骨欠損部の治癒過程における、骨芽細胞、破骨細胞、骨密度について、組織切片上で検討する予定である。さらに、IGF-I長期発現治療用プラスミド導入による顎骨欠損部の形態変化についても検討を行なう予定である。
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