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2013 年度 実施状況報告書

微小電流刺激と骨形成因子を応用したインプラント周囲骨増生法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24592954
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

原田 清  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30228639)

キーワードデンタルインプラント / 微小微小電流刺激 / 骨形成因子 / 骨増生シート
研究概要

咬合や咀嚼機能回復のためのデンタルインプラントは近年その需要が高まりつつあるが、歯槽骨の条件が悪い場合には骨移植を前処置として行うなど、現状では二次的な手術が必要となり、患者にもその手術侵襲が負担になっている。そこで本研究では、微小電流刺激による骨形成能の活性化に着目し、インプラントを電極とする微小電流刺激実験を計画した。また、微小電流刺激による骨形成能をさらに活性化する目的で、骨形成因子等の生理活性物質を応用することも視野に入れ、最終的には人体応用への実用化を目指している。本法が実用化されれば、インプラント植立のために他部位から移植骨を採取する必要性は排除され、かつ1回の手術のみでインプラント周囲に骨増生がなされることから、患者の身体的負担をより軽減し、しかも確実なインプラント埋入が可能となる。
平成24年度は実験実施のための手続きに時間を取られたため、実質的な実験の進捗が得られなかった。倫理審査や動物実験施設講習を経て、ようやく平成25年度に入ってからビーグル犬を2頭購入し、実際に大臼歯部を抜歯し、抜歯窩が治癒した後の歯槽骨にマイオモニターの電極を応用した微小電流刺激を加える動物実験を実施した。しかし、平成25年度7月末より動物実験施設の改修工事が始まってしまったため、年度内に実施できた動物実験はこの2頭のビーグル犬のみで、微小電流刺激の骨形成に与える影響を確認する前の段階で実験を中断せざるを得なかった。よって、今年度も実験の進捗が遅れたことは否めない。その代りに、本研究計画のもう一つの柱である、骨増生シート開発のための準備実験に着手した。したがって、平成25年度の後半では、実験系を動物実験ではなく主にin vitroの細胞培養実験に移し、これに新規高分子生体材料と骨形成因子をコンバインさせた材料を応用した実験の成果が少しずつ挙がってきている状況である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

動物実験施設の改修工事の影響で、本来本研究の研究計画に記載したビーグル犬を用いた動物実験は大幅に遅れてしまっている。しかし、本研究計画のもう一つの柱である骨増生シート開発のための準備実験に着手した。つまり、高分子生体材料に骨形成因子をコンバインさせ、骨増生に応用するための骨増生シート調製のためのin vitro細胞培養実験を行った。現在、シートの基材となる高分子生体材料の、骨形成性細胞に対する毒性の有無を検証中で、昨今、本材料がむしろ骨形成性細胞の骨形成能を低下させないどころか、むしろ増加させ得る可能性がある成果が得られている。本研究では骨膜下に挿入するための骨増生シートをちょうせい調製することも研究の目的としているため、動物実験は遅れてしまっているが、骨増生シート作製の準備状況に入ることができたという観点から、総合的に見た場合の本研究計画の進捗は「遅れている」ではなく、「やや遅れている」と自己評価した。

今後の研究の推進方策

平成26年度に入って、動物実験施設使用の準備状況は整ってきてはいるが、当初は新施設使用のための再講習や利用手続きをもう一度踏む必要がある。したがって、研究という観点から本研究計画をより成果あるものに結び付けるためには、動物実験施設が改修のために閉鎖していた期間に進めてきたin vitroの実験を継続することが肝要と考える。そこで今年度は、前述したように骨形成性細胞に対する細胞毒性についてクリアできそうな新規高分子生体材料を骨形成因子とコンバインさせ、これの骨形成能をin vitroで検証する。そのうえでマウス、ラットなどの小型動物に同材料を移植し、規模を縮小してin vivoにおける骨形成能を確認するステップに実験を進める予定とている。これらが順調に進捗すれば、この骨形成因子含有生体材料を骨膜下シートに成型し、中型動物であるイヌの歯槽骨骨膜下に本シートを移植してその骨増生能を観察する予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度7月末より本学の動物実験施設の改修工事が急遽始まったため、ビーグル犬を使用した微小電流骨増生実験が実施不能となったことが大きな理由である。実験系をin vitroにかえて研究を実施してきたが、ビーグル犬は1頭でもコストが12万円ほどかかるのに対して、vitorの実験ではそこまでコストがかからなかったために次年度使用額が発生した。
次年度使用額は平成26年度の実験として使用を検討している小型実験動物の購入と、骨形成因子等のgrowth factorの入手に使用を予定している。これらを入手して実験に供することにより、骨膜下に挿入するための骨形成活性を有する新規高分子生体材料シート(骨増生シート)の開発を目指す。また可能であれば、新規開発した骨増生シートの、より大型の動物における骨増生能を確認する目的で、中型の実験動物であるビーグル犬を1頭購入して実験に供する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 馬蹄形Le Fort I型骨切り術2014

    • 著者名/発表者名
      原田 清
    • 雑誌名

      日本顎変形症学会雑誌

      巻: 23 ページ: 233-237

  • [雑誌論文] 顎変形症の診断と手術手技-その基本と勘どころ-2013

    • 著者名/発表者名
      原田 清
    • 雑誌名

      日本口腔外科学会雑誌

      巻: 59 ページ: 214-222

  • [雑誌論文] 上顎の拳上手術-その術前予測と現実-2013

    • 著者名/発表者名
      原田 清
    • 雑誌名

      東京矯正歯科学会雑誌

      巻: 23 ページ: 145-151

  • [学会発表] 上顎の顎変形に対する外科的矯正治療2013

    • 著者名/発表者名
      原田 清
    • 学会等名
      日本口腔外科学会総会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      20131011-20131013
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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