研究課題/領域番号 |
24592956
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野崎 剛徳 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30263304)
|
研究分担者 |
山田 聡 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40359849)
山下 元三 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (90524984)
北垣 次郎太 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90570292)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 組織再生 / FGF-2 |
研究概要 |
本研究は移植再生医療やインプラント治療に必要とされる母床組織の安定的な再生を得ることを最終目標としている。平成24年度には、母床組織の再生に最適な微小環境条件をex. vivoにおいて構築した移植材を作成し、さらにシグナル分子を用いた生体における組織再生プロセスの制御を行うために、以下の研究を実施した。 1. バイオイメージ分析に基づく再生治療シミュレーションと移植材の設計:母床組織の再生を行うための移植材の、基底部をなす骨再生足場材を試作した。当初の予定では、β-TCPブロックから削出した基剤にゼラチンハイドロゲルを組込むことで、シグナル分子の徐放機能を付与する予定としていたが、骨再生足場材としてはシグナル分子の徐放機能に加えて、生体内における吸収速度の調節が可能であることが望ましいことから、基剤として高強度コラーゲンを使用することを併せて検討しており、現在は両者の機能比較試験を実施している。 2. 組織欠損モデルの作成と細胞の採取・分離:ビーグル犬を用い、上顎の犬歯頬側の骨を裂開状に削除したデハイセンス型組織欠損モデルを作成した。また下顎の第三ならびに第四前臼歯を抜歯し、その後に下顎第二前臼歯と第一後臼歯間の骨を水平的に削除した高度水平性組織欠損モデルを作成した。さらに、備品として購入したオステルと、イヌ用インプラントに適合するよう加工した測定用ペグを用いて、ISQ値の測定が可能であることを確認した。一方、この組織欠損の作成に際して下顎骨片と歯肉組織を採取し、骨芽細胞および歯肉線維芽細胞、歯肉上皮細胞を、それぞれ通法に従って分取した。 3. 細胞シートの作成と多層化:歯肉線維芽細胞の重層培養による線維芽細胞シートの作成と、シートの重層による多層化を行うための条件を、現在検討中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に実施が予定された各項目のうち、再生治療シミュレーションと移植材の設計、ならびに組織欠損モデルの作成は順調に進展しており、平成25年度に実施予定の少数例埋入試験が実施できる見込みである。
|
今後の研究の推進方策 |
組織再生のプロセスをオンデマンド制御することにより、安定的な再生結果を得ることを目標として、次年度は以下の方法で研究を推進する。 1. シグナル分子徐放性足場材とADSCの相互作用の検討:シグナル分子徐放機能を有する足場材に、ADSCもしくは骨芽細胞を播種して培養を行い、in vitroにおける石灰化誘導実験を行う。またビーグル犬を用いたシグナル分子徐放性足場材の少数例埋入実験を行って、骨再生におけるシグナル分子徐放性足場材の作用を組織学的に検討する。 2. マルチレイヤー移植材の作成:シグナル分子徐放性足場材にADSCを播種し、多層化した線維芽細胞シートならびに上皮細胞シートを積層することで、三次元的形態と細胞配置を備えたマルチレイヤー移植材を作成する。 3. オン・デマンド再生制御機能の検討 母床組織再生のオン・デマンド制御を行うためにシグナル分子としてFGF-2を使用するが、FGF-2に加えてBMP-2、PGE2などのサイトカインや、スタチン等の低分子化合物の局所投与も検討する予定としており、これらのシグナル分子のいかなる組み合わせが母床再生に最適な細胞増殖・分化を誘導するのかを、in vitroの系を用いて検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度はイヌに作成した組織欠損モデルへのシグナル分子徐放性足場材の少数例埋入実験の実施を予定しており、移植材の作成および手術用器材(カスタムインプラント及びISQ測定用ペグの費用を含む)の購入を計画している。またイヌ由来細胞の分離・培養と細胞シートの作成を予定しているため、細胞培養用プラスティック器具と試薬の購入を計画している。さらに、平成25年度~26年度の研究に使用予定のビーグル犬の購入を計画している。
|