研究課題/領域番号 |
24592956
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野崎 剛徳 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30263304)
|
研究分担者 |
山田 聡 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40359849)
山下 元三 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (90524984)
北垣 次郎太 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90570292)
|
キーワード | 組織再生 / FGF-2 |
研究概要 |
本研究は、移植再生医療やインプラント治療に必要とされる母床組織の安定的な再生を、最終目標としている。この目標に向けて、平成25年度は以下の研究を行った。 1. シグナル分子徐放性足場材と脂肪組織由来多系統前駆細胞(ADMPC)の相互作用:本研究では、組織再生制御を行うための手法の一つとしてシグナル分子を使用しているが、移植細胞としての使用を検討しているADMPC自身も、液性因子産生を介して、硬組織再生誘導を促進的に制御していることが、これまでの研究から示唆された。そこでADMPCが産生する成長因子の同定を行ったところ、IGFBP6やHGF、VEGFを産生していることが示された。 2. マルチレイヤー移植材の開発:シグナル分子の徐放を行い、かつ生体内における吸収速度の調節を行うことを目標として、高強度コラーゲンを用いた骨再生足場材を作成した。そしてこれを、下記の組織欠損モデルに対する少数例埋入試験に使用した。 3. オン・デマンド再生制御機能の検討:平成24年度に作成したビーグル犬の組織欠損モデル(上顎の犬歯頬側の骨を裂開状に削除したデハイセンス型組織欠損モデル、ならびに下顎の第三ならびに第四前臼歯を抜歯し、その後に下顎第二前臼歯と第一後臼歯間の骨を水平的に削除した高度水平性組織欠損モデル)に対して、上記の骨再生足場材の少数例埋入試験を実施した。また高度骨欠損モデルに対して、シグナル分子としてFGF-2を使用したイヌ用インプラントの埋入を行い、インプラント周囲の母床組織再生に対するFGF-2の再生誘導効果の検討を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に実施が予定された各項目のうち、シグナル分子徐放性足場材と脂肪組織由来多系統前駆細胞の相互作用の検討は、順調に進展している。また新規に作成した骨再生足場材の組織欠損モデルへの少数例埋入試験も実施された。現在は高度骨欠損モデルに対するシグナル分子の効果の検討を行っているところであり、平成26年度はこの結果の解析を進めるとともに、FGF-2に加えてBMP-2やVEGF等の液性因子をシグナル分子として使用することを、検討する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は研究を推進するために、以下の項目の研究を行うことを策定している。 1. シグナル分子とADSCの相互作用の検討:各種シグナル分子とADSCを用いて、in vitroにおける石灰化誘導実験を行う。また骨再生におけるシグナル分子とADSCの相互作用を、組織学的に検討する。 2. オン・デマンド再生制御機能の検討 母床組織再生のオン・デマンド制御を行うためのシグナル分子としてFGF-2を使用しているが、次年度はこれに加えてBMP-2、PGE2などのサイトカイン、さらにはADMPCによる組織再生促進への関与が示唆されたIGFBP6やHGF、VEGF等の成長因子の使用を検討する予定としている。そして、これらのシグナル分子の組み合わせが細胞増殖・分化誘導にどのような影響を与えるのか、またいかなる組合せが母床再生に最適であるのかを、in vitroで検討する。 3. 高度骨欠損モデルにおける、インプラント周囲組織再生に対するシグナル分子の効果を、組織学的に検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
組織再生研究を行うために生理活性物質を購入し使用しているが、使用直前の購入が望ましいことから購入時期を調整する必要があり、次年度使用額が生じることとなった。 次年度は、組織再生研究を行うために複数の生理活性物質を購入する計画があり、その際に当該助成金を使用する。
|