研究課題
本研究は、移植再生医療やインプラント治療の確実性・安全性の向上に必要とされる母床組織の、安定的な再生を得ることを目的としており、平成26年度は以下の研究を実施した。1. 再生制御機能を有する移植材の開発シグナル分子の徐放と生体内吸収速度調節を行うために、高強度コラーゲンを用いてFGF-2を含浸した移植材を作成し、ビーグル犬に作成した高度水平性組織欠損モデルおよび開窓モデルに埋入した。その結果、高度水平性組織欠損モデルでは頬粘膜からの圧によって移植材に変形がおこり、埋入後1週間で全例に移植材の滑脱が生じた。一方、開窓モデルにおいては、マイクロCTによる再生骨量解析の結果、移植材使用群で良好な組織再生が得られることが示された。2. インプラント周囲組織の再生におけるシグナル分子の再生促進効果の検討十分な初期固定力が得られない高度骨欠損条件下でインプラントを埋入したモデル(完全埋入モデルと即時負荷モデル)をビーグル犬に作成し、シグナル分子が安定性獲得に与える効果を、インプラント安定指数(ISQ値)により評価した。その結果、完全埋入モデルにおいては、FGF-2投与群のISQ値が早期から高い傾向を示し、12週以降は有意に高値となった。また組織学的に、FGF-2投与群は新生骨梁面積、骨性結合長さがともに大きく、フィックスチャ周囲の骨吸収度は小さかった。これに対し、即時負荷モデルでは高頻度にインプラントの脱落が生じ、最終的にオッセオインテグレーションが獲得されたのは対照群で8.3%、FGF-2投与群で25%であった。これらの結果から、埋入母床の状態改善が必要とされる条件下でのインプラント埋入に際しては即時負荷を回避し、さらにFGF-2を投与することで、フックスチャ周囲の骨新生を伴うオッセオインテグレーションの獲得が促進され、埋入後早期の安定性が向上することが示唆された。
すべて 2014
すべて 学会発表 (1件)