研究課題/領域番号 |
24592957
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
河野 文昭 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60195120)
|
研究分担者 |
浜田 賢一 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00301317)
篠原 千尋 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50332820)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | Hanks溶液 / 細胞毒性 / HAPセメント / Sr-HAPセメント / DNA量 / 骨形成能 |
研究実績の概要 |
Hanks溶液中へのセメントの浸漬実験より、従来型HAPセメントと比較してSr-HAP(0%)セメントおよび0.1Sr-HAP(0%)セメントを浸漬した場合のHanks溶液のpH低下が顕著であった。pH低下が細胞に及ぼす影響を検討するため、MTS法を用いて7日間培養後のMC3T3-E1生細胞数を測定した。その結果、従来型HAPセメントと比較してSr-HAP(0%)セメントは同程度の生細胞数であったのに対して0.1Sr-HAP(0%)セメントは有意に増加した(p<0.01)。試作したSr-HAPセメントの細胞毒性は、従来型HAPセメントと比較して同等またはそれ以下であった。さらにDNA量変化を測定しMC3T3-E1の細胞数を定量した結果、Sr-HAP(0%)セメントおよび0.1Sr-HAP(0%)セメントは従来型HAPセメントと比較して同程度のDNA量となり、有意差は認められなかった(p>0.01)。これらの結果より、試作したSr-HAPセメントの細胞毒性は極めて少ないことが確認された。 ラット骨組織へセメントを移植しSr-HAPセメントの溶出によるpH低下の影響を検討した結果、移植後1週間ではコントロールおよびSr-HAP(0%)セメント移植側ともに炎症反応が顕著に認められ、破骨細胞が確認された。しかし、移植後2週間になるとコントロールおよび移植側において炎症反応はほとんど認められなくなり、骨芽細胞の増殖と新生骨を認めた。移植したSr-HAP(0%)セメントの周囲に骨芽細胞および新生骨が確認されたため、Sr-HAPセメントの溶出による為害性は少ないことが示された。また、移植後4週間になると、コントロールと比較してSr-HAP(0%)セメント移植側に新生骨が多く認められたため、Sr-HAP(0%)つまりSrCO3無添加Sr-HAPセメントの骨形成能が示唆された。
|