研究課題/領域番号 |
24592960
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
河野 博史 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (20507165)
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研究分担者 |
伴 清治 愛知学院大学, 歯学部, その他 (10159105)
田口 則宏 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30325196)
武内 博信 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70452951)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | インプラント / ジルコニア |
研究概要 |
今年度はジルコニアインプラント体に骨誘導能を付与するための基礎データを取集する目的で、以下の研究を主として行った。1)ジルコニアと陶材の接着界面の結合機構に関する検討を行った。ジルコニア仮焼体を切断した後1450℃で2時間焼成し、円板試料を調製した。試料表面をアルミナ粒子によりサンドブラスト処理し、コンデンス法により長石系陶材を前装した。界面層を含む試料はアルゴンイオンスライサーにて超薄切片を高分解能電解放射型透過電子顕微鏡によって観察した。ジルコニアと陶材界面における構成元素の明確な拡散反応層は確認できなかった。しかしながら、界面は微細な凹凸があり、その界面において非晶質の緻密な接触が確認された。これにより両者の結合は界面の非晶質層でのジルコニア表面の凹凸と高い緻密性を有するアモルファス相のアンカー効果とファンデルワールス力によるものと推定された。2)ジルコニアと陶材との接着強さに関する検討を行った。イットリア系ジルコニアとセリア系ジルコニア/アルミナ・ナノ複合材料の焼成体を基材として、歯科用陶材を焼成し試料製作を行った。せん断接着試験を行い、接着強さを4元配置分散分析により統計解析した。分散分析において陶材焼成温度が最も高い寄与率を示した。さらに、基材と陶材界面部のSEM観察においては他の陶材条件に比べて緻密な界面を認めた。しかしながら、接着強さは他の陶材条件に比べて有意に低い値を示した。これによりジルコニア基材と歯科用陶材との接着強さは単に緻密な界面によるものではなく、界面を構成する部材の機械的強度に大きく依存しているものと推定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書において当該年度における研究内容は1)HA-ガラス層処理条件の検討、2)基板強度の測定、3)生体適合性の評価であったが、ジルコニアとガラス層の反応性を検討するために、ジルコニアと陶材ジルコニアと陶材接着界面の観察やジルコニアと陶材の接着強さの測定を行った。また、2軸曲げ試験、3点曲げ試験および4点曲げ試験にて基板のジルコニアセラミックスの強度低下の確認を行っている。初期評価としての生体活性評価において、疑似体液への浸漬におけるアパタイトの析出を確認しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当該年度の研究結果を踏まえた上で、研究計画に則して1)体内埋入後に生体活性層が生成する方法の検討:ジルコニア表面にガラスコーティングを応用して多孔質層を付与する方法を検討する。基板強度および生体適合性評価の結果から、ガラス組成、焼成条件を再検討する。強度と生体適合性は相反する結果が推測されることから、バランスの取れた最適条件を模索する。2)in vitro での生体適合性評価:骨芽細胞様細胞を用いた細胞増殖試験および細胞接着試験により生体適合性を評価する。この評価において皮膜の有無による比較を行い、結果を踏まえてガラス組成、焼成条件を再検討する。3)in vivo での生体適合性評価:ラット頭蓋骨に表面処理したジルコニア試料を埋入し、周囲骨との結合性を評価する。具体的には引き抜き試験などで結合強さを定量化できるようにする。評価結果をもとに最適条件を決定する。といった研究を順次遂行していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は消耗品としてジルコニア素材、研磨板:アッペクスBバイメタルプレート、薄片作製用カップ砥石11-2740、試薬、生体活性評価用細胞、生体活性評価用試薬等の購入を予定している。また、旅費等として研究に関連する国内および国際学会参加、研究打合せ等に関する費用の支出を予定している。
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