研究課題/領域番号 |
24592960
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
河野 博史 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (20507165)
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研究分担者 |
伴 清治 愛知学院大学, 歯学部, その他 (10159105)
田口 則宏 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30325196)
武内 博信 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70452951)
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キーワード | ジルコニア / 表面改質 |
研究概要 |
今年度はインプラント体表面に体内埋入後生体活性層が生成する方法として、カルシウムイオンをジルコニア表面に注入する方法、あるいはジルコニア表面に多孔質層を付与する方法を検討するためのデータを取得する目的で、以下の研究を主として行った。1)カルシウムイオン導入によるジルコニア表面の生体活性処理についての検討を行った。イットリア系ジルコニアとセリア系ジルコニア/アルミナ・ナノ複合材料の焼成体を基材として試料製作を行った。試料をサンドブラスト処理、超音波洗浄後、自然乾燥し、酢酸カルシウムを塗布、焼成を行った。結晶層の分析、元素分析、3点曲げ試験、ビッカース硬さ試験、液適法による接触角測定の結果、ジルコニアに溶解度の高い酢酸カルシウムを塗布し適正な温度で焼成すれば機械的強度を低下させずに表面にカルシウムイオンを導入することが可能であることが示唆された。2)ジルコニアの低温劣化と表面処理の関係について検討を行った。3種のイットリア系ジルコニアの焼成体を基材として試料製作を行った。各試料を焼成したまま、サンドブラスト処理、ダイヤモンドポイントによる研削、通法通りの研削後鏡面研磨、の4種類に分類し、オートクレーブを行った。X線回折の結果、ジルコニアの低温劣化試験では焼成したままの面が最も劣化が大きく、表面処理により低温劣化が抑制された。特に研削および研磨面は初期の抑制効果が高かった。一方、サンドブラスト面は応力誘起転移のためにオートクレーブ前より単斜晶が存在するが、焼成したままのものよりもオートクレーブによる単斜晶生成量は少なく、抑制効果が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書において、当該年度における研究内容は1)体内埋入後に生体活性層が生成する方法の検討、2)基板強度の測定、3)生体適合性の評価、であったが、ジルコニア表面に生体活性層を付与する方法の検討としてカルシウムイオンの導入を行った。また、基板強度に関連して、低温劣化と表面処理の関係性、着色材がジルコニアの機械的性質に与える影響なども検討を行ったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当該年度の研究結果を踏まえた上で、研究計画に則して1)体内埋入後に生体活性層が生成する方法の検討、2)基板強度の測定、3)生体適合性の評価、をさらに進めていくこととする。基板の強度に関連して、ジルコニアの低温劣化と曲げ強さに関する研究、生体適合性の評価に関連して、ジルコニアの表面処理が細胞の初期付着に与える影響、といった研究を順次遂行していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
参加予定の学会に出席できなかったため。 学会旅費
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