研究課題/領域番号 |
24592962
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
迫田 賢二 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70419654)
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研究分担者 |
中村 利明 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60381183)
吉元 剛彦 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, その他 (60419653)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | iPS細胞 |
研究概要 |
本研究は、iPS細胞をもとに高純度の間葉系幹細胞(MSC)への分化法を確立し、分化誘導された間葉系幹細胞(iMS細胞)を用いた歯周組織再生療法への応用の基盤を築くことを目的とする。 現在我々は、脂肪組織に由来する脱分化脂肪細胞(De-differentiated fat cells:DFAT)を用いた歯周組織再生に関する研究にも取り組んでいる。DFATは成熟脂肪細胞から天井培養と呼ばれる方法で培養することにより生じる細胞群で、高い増殖能と多分化能を有しており骨髄由来間葉系幹細胞や脂肪由来幹細胞に比べ、非常に純度の高い幹細胞が入手可能である。この技術をiMS細胞作製に応用することで高純度の細胞集団を得ることができると考えた。すなわち、iPS細胞を脂肪細胞へ分化させ、その成熟脂肪細胞を天井培養することで非常に純度の高い幹細胞集団を得ることを試みた。まずは従来の方法に従い、iPS細胞から胚様体をつくり脂肪分化培地で培養することで、脂肪滴を有したOil red O染色陽性の脂肪細胞を得ることでできた。しかしながら、この分化させた脂肪細胞は生体由来の成熟脂肪細胞のように培養液上に浮遊することができないため、天井培養ができなかった。次に、ROCKインヒビターを脂肪分化に用いることで効率よく分化し、分化期間の短縮もできた。しかしこの方法で分化させた脂肪細胞も天井培養はできなかった。これまでに報告されている脂肪細胞分化法では、生体にある成熟脂肪細胞のような大きな脂肪滴を有した脂肪細胞への分化は困難であることが分かった。そこで、我々はフィーダー細胞上で脂肪細胞へ分化させたところ、従来の方法で得られる脂肪細胞と違い、非常に大きな脂肪滴を有した脂肪細胞を得ることが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
iPS細胞から脂肪細胞への分化については容易にできるが、生体の成熟脂肪細胞のような大きな脂肪滴を有した脂肪細胞への分化には至っていないため、研究計画にある天井培養ができていない。しかしながら、これまでの脂肪細胞への分化法とは違い、われわれは新規の脂肪細胞への分化法を確立しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
我々の新規脂肪細胞分化法にさらなる改良を行い、生体にある成熟脂肪細胞と同等の脂肪細胞への分化法を確立する。その方法が確立したら天井培養が可能となり、iPS細胞から高純度の間葉系幹細胞が得ることができると思われる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究は、最初にin vitroの研究を重点的に行い、徐々にin vivoにシフトしていく流れである。そのため、消耗品の内訳も2年目に動物にかかる費用の割合が多くなっている。また、使用する動物に免疫不全ラットを予定しているため、通常のラットよりも単価が高く、飼育にも費用がかかる。そのため、動物数は必要最低限の数で積算している。 旅費については、国内旅費、国外旅費の交通費、宿泊費、日当は学内の旅費規程に従って算出している。
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