研究課題/領域番号 |
24592967
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
玉置 幸道 昭和大学, 歯学部, 准教授 (80197566)
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研究分担者 |
堀田 康弘 昭和大学, 歯学部, 講師 (00245804)
柴田 陽 昭和大学, 歯学部, 助教 (30327936)
片岡 有 昭和大学, 歯学部, 助教 (90527300)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ケイ酸カルシウム / 生体材料 / 硬組織補填材 / リン酸カルシウム / 歯科材料 |
研究概要 |
本年度はアルジネート印象材を焼成することにより製品内に70-80%含有されている珪藻土(SiO2)を抽出し、その粉末を炭酸カルシウムと混合してケイ酸カルシウム生成を検討した。目標では使用済み石膏模型(CaSO4・2H2O)を焼成して得られる酸化カルシウム(CaO)を利用するのであるが、石膏を熱分解させるには約1,200℃の熱源が必要であり、通常の歯科用電気炉では長時間の焼成となる。そこで、前段としてより低温で酸化カルシウムが生成可能な炭酸カルシウム(CaCO3)を用いて基礎実験を行った。なお、炭酸カルシウムには研究のコンセプトの一端でもある廃材利用を念頭に置いて使用済みチョークを利用した。 実験の結果、炭酸カルシウムは約850℃で分解が完了して酸化カルシウムとなることが明らかとなり、石膏模型を粉砕した粉末との混合により、ケイ酸カルシウムの生成が確認された。またこのケイ酸カルシウムは配合比率をコントロールすることでCaSiO3, Ca2SiO4, Ca3SiO5など多様なケイ酸カルシウム生成が可能となることが示唆された。この合成したケイ酸カルシウムを用い、現在根管治療用として注目を集めている水硬性セメントMTAと同様な薬理効果が発揮できるか、現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿って順調に進行している。 本申請により購入予定であった高温焼成炉の購入が、当初予定していたメーカーの製品に一部不具合があり、修理・調整後も改善が見られなかったために大幅に遅れてしまったので、実験に遅れが生じてはいる。他機種を探索した結果、年度末になり、ようやく求めていた条件に合致する機種を購入することができたので、今後は計画通りに使用済み石膏模型をターゲットにして実験を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は購入した電気炉を稼働して実際にケイ酸カルシウムあるいはリン酸カルシウムン合成までをX線回折や合成した焼結体および粉体のSEM像観察などから検討し、目的に合致したものが得られたならば、再現性を確認しながら生体をシミュレートした実験系に移行していく。その後はケイ酸カルシウム、二ケイ酸カルシウム、三ケイ酸カルシウムの比較を行い骨移植材への応用について検討を進めていく。また、同時に歯科材料として用いられているリン酸水溶液についても検討を試みていく。すなわち同様な研究手法によってケイ酸カルシウムではなくリン酸カルシウムを合成可能かどうかについて、重ねて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費については目的である備品購入が叶ったために試料作製用の歯科材料購入費(普通石膏、アルジネート印象材、正リン酸水溶液(リン酸亜鉛セメントの液)、研究成果発表(学内学会への出張旅費、海外学会への出張旅費)、論文作成・投稿費用(学内学会・海外学会)、分析機器の消耗品(試料台、プリント用インク代、コピー用紙、インクリボン)、データ保存用ハードディスク・USBなどの購入が主体となる。
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