研究課題/領域番号 |
24592969
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
米山 隆之 日本大学, 歯学部, 教授 (00220773)
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研究分担者 |
松村 英雄 日本大学, 歯学部, 教授 (40199857)
堤 祐介 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (60447498)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 歯学 / 生体材料 / チタン合金 / 表面・界面物性 / 複合材料・物性 |
研究概要 |
Ti-6Al-7Nb合金およびグレード4純チタン(コントロール)について、試験に適切な試料形状を検討した結果、4 mm×1.2 mm×25 mmの板状とし、機械加工によって作成することとした。Ti-6Al-7Nb合金の素材は直径16 mmの丸棒形状のため、ワイヤー加工を行い、グレード4純チタンは板状の素材から切り出した後、鏡面まで研磨することが可能であった。 表面処理方法としては、電解処理にターゲットを絞って検討した結果、電解液は水57.2%+グリセリン35.7%+乳酸7.1%、対極は純チタン、作用極-対極間距離35 mm、電解電圧50 Vの条件に決定し、電解処理装置を作製し、Ti-6Al-7Nb合金試料に表面改質処理を施した。 Ti-6Al-7Nb合金試料の耐食性について、0.9% NaCl水溶液中におけるアノード分極試験で得られた曲線から求めたパラメータによって検討した。その結果、表面改質処理を行っていないTi-6Al-7Nb合金試料では、腐食電位が-0.70 Vであったが、処理後では0.12 Vに上昇した。また、不動態保持電流密度の指標として、0.5~1.0 Vの電位における電流密度の平均値を算出したところ、表面改質処理を行っていない試料では2.0 μAcm-2であったが、処理後では0.0067 μAcm-2と大きく減少し、本表面改質処理により耐食性の著しい改善が認められた。また、処理前後いずれの条件においても孔食の発生は観察されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究の目的に沿って、平成24年度の研究実施計画の全3項目、1) チタン合金試料の作製、2) チタン合金試料の表面改質、3) 表面改質チタン合金試料の耐食性評価について、計画的に研究を実施した結果、予定通り順調に研究結果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に実施した条件による電解処理がチタン合金の耐食性改善に有効であることが判明したため、さらに本表面改質による耐食性の改善について詳細に検討して処理条件を確定するとともに、表面改質チタン合金試料と前装材との接合性を評価する。 1. チタン合金試料の作製および表面改質:Ti-6Al-7Nb合金およびグレード4純チタンについて、耐食性試験、前装材との接合試験、複合体の耐破折性試験のための試料を機械加工で作製する。また、2種類のチタン合金試料について表面改質処理を実施し、表面改質チタン合金試料を作製する。 2. 表面改質チタン合金試料の耐食性評価と処理条件の確定:前年度に引き続き、2種類のチタン合金試料について、0.9%生理食塩水中でのアノード分極試験によって耐食性を検討し、表面改質による耐食性への影響を評価する。この結果をフィードバックすることにより、表面改質条件を確定する。 3. 表面改質チタン合金試料と前装材との耐破折性評価:Ti-6Al-7Nb合金およびグレード4純チタンについて、良好な耐食性が得られた条件で表面改質を施した後、歯冠補綴用硬質レジンとの複合体試料を作製し、万能材料試験機を用いてISO 6872:2008に準拠した曲げ試験を実施し、曲げ応力に対する剛性、前装材の破壊における応力、たわみ、様式などによって、耐破折性ならびに力学的信頼性を評価する。前装材および接合前処理条件については、これまでの研究でチタン合金に対する良好な接合性を確認している材料ならびに条件を中心に決定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品の価格が予定より安価であったため、次年度使用額が265円残ったが、次年度の研究遂行のための消耗品購入に充当する。
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