研究課題/領域番号 |
24592970
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
佐藤 秀明 東京都市大学, 工学部, 准教授 (00196263)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 歯科理工学 / 歯冠修復物 / 純チタン / 研磨加工 / 軸付き砥石の開発 / ポリ尿素樹脂ボンド / 表面粗さ / 光沢面 |
研究概要 |
本研究は,新たな歯科技工用軸付き砥石の開発を行うものであり,金属アレルギ-の発生が極めて少ない歯科用純チタンを研磨するための,ポリ尿素樹脂ボンド軸付き砥石の開発を行った.純チタンは,歯冠修復材料としては大変優れているが,極めて加工が難しい材料である.よって,臨床においては,その使用が敬遠されがちとなっている. 本研究の目的は,生体に安全な歯科用純チタンを研磨するための,高性能な歯科技工用軸付き砥石を開発し,金属アレルギ-の治療に必要な純チタン製の歯冠修復物の,さらなる普及のための一助となることである. チタンは生体に安全な材料であり,金属アレルギ-の原因となる可能性が大変小さく,強度も十分に有している.しかし,極めて機械加工が難しい難加工材料であるため,現在,歯冠修復材料として十分に普及していない.例えば,純チタン製の歯冠修復物の製作においては,市販の4~5種類の軸付きシリコンゴム砥石を用いて研磨を行い,粗研磨から仕上げ研磨が行われている.このため,歯科医師,歯科技工士からは,工程の簡略化と研磨時間の短縮,表面粗さの減少等,研磨技術の向上が望まれている. そこで,本研究においては,臨床応用を目的とした歯科技工用軸付き砥石開発に関する新しい試みとして,ポリ尿素樹脂ボンド軸付きGC(SiC)砥石を開発し,純チタンの研磨を行い,研磨特性について調べた.平成24年度は,砥粒率(vol%)3種類に変化させて,研磨実験を行った.多くの実験回数による結果ではないが,砥粒率が最大の砥石の場合,研磨後の算術平均粗さRaが,0.2μm以下を示した.近年,Bollen らは,歯冠修復物の表面粗さRaは0.2μm 以下が望ましいと指摘しており,この目標値を下回ることができたので,本砥石の研磨性能に,今後期待が持てる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.平成24年度に,軸付き砥石専用の横軸型研磨装置を製作する目的で,新東科学株式会社と仕様の打ち合わせを行い,摩擦摩耗試験機を購入した.新東科学株式会社の担当者と,十分に打ち合わせを行い,既成品に改造を加え,改良図面を書き,製作してもらった.ただし,この打ち合わせに時間を要したこともあり,納期が遅れ,実験装置の製作が遅れてしまった. 2.純チタンは大変に研磨しにくい難削材であるため,研削比が極めて小さく,砥石の損耗量が大きい.このため,砥石の消耗が激しい.軸付き砥石は,共同研究先であるリ-ド創研に製作を依頼しているが,特注品ということもあり,製作に時間を要し,軸付き砥石の納期が遅れてしまった.加えて,研磨実験着手後に,軸付き砥石のツル-イング装置の剛性が小さいため,本軸付き砥石の振れを,全て取ることができないことがわかった.このため,ツル-イング装置の剛性を高めるための改良を行った.この改良に時間を要したため,実験遂行に遅れが出てしまった.
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き,本研究においては,臨床応用を目的とした歯科技工用軸付き砥石開発に関する新しい試みとして,ポリ尿素樹脂ボンド軸付きGC(SiC)砥石を開発し,純チタンの研磨を行い,研磨特性について調べていく.平成24年度は,砥粒率(vol%)を3種類に変化させて,研磨実験を行ったが,結合剤の硬さは1種類であった. このため,平成25年度は,結合剤の硬さを3~4種類に変化させ,さらに,砥粒にダイヤモンドを使用した砥石も製作し,研磨実験を行う予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく中で,リ-ド創研に軸付き砥石を寄付して頂いたので,研究費が節約できた.よって,繰越金12,463円が発生し,これを次年度の物品費に使用する. 以下に,次年度の研究費使用計画を示す. 1.物品費としては,純チタンの鋳造時に使用する埋没剤の購入,実験装置を製作および改良するための材料の購入,軸付き砥石の購入に使用する計画である. 2.旅費としては,学会発表のための旅費に使用する計画である.
|