研究課題/領域番号 |
24592973
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
福井 壽男 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (50090147)
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研究分担者 |
鶴田 昌三 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (40183488)
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キーワード | 金銀パラジウム合金 / 電気化学的性質 / 溶体か処理 |
研究概要 |
市販歯科鋳造用金銀パラジウム合金を1123Kで3.6ksの溶体化処理を施した場合,機械的強度が向上する.その強化メカニズムは, 溶体化処理により凝固組織中にあるβ相(Pd-Cu系)の母相への固溶による固溶硬化あるいはβ相の準安定fct相(L10型規則相)の析出による析出硬化機構が大きく関与していることを報告した。本年度は、β'相の析出メカニズムの解明から、本合金のβ相の析出を制御することによるβ'相の析出量と機械的性質および電気化学的試験による化学的性質を検討した.化学的性質が劣ると金属アレルギー発症を惹起させることになる.本合金のβ相の析出とイオン化に及ぼすミクロ組織と溶出挙動との相関について検討した. その結果、1023Kおよび1123Kの温度で溶体化処理を施すことによりα1相,α2相の元素濃度が変化することにより耐食性は向上した。さらに、ミクロ組織中のα1相,α2相,β 相の3相中では,α1相が最も電位が低く,次いでα2相,β相の順に電位が高いことが判明した. β相が存在しない、α相組織では耐食性が向上することが判明した.また,20質量%に金量を多く含有させた、金銀パラジウム合金の耐食性は向上する.これは,α1相中に金が固溶するためである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合金内に三相が存在している場合においても同様であり, 最も卑な相が局部アノードとなり腐食が進行するものと考えられる。各相の単極電位は相内に含まれている主要金属の貴卑関係に強く影響を受けると考えると Cuを主成分とするα1相が最も電位が低く、Pdを主成分とする β相が最も電位が高いものと考えられる. すなわち,α1相<α2相<β相の順番に電位が高くなると予想された。また、α1相を含む複数の相が存在している合金では,α1 相と他相の界面近傍において、α1相が局所的に腐食することから合金組成への新しい示唆が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
平成24、25年度の成果から,12%金銀パラジウム合金の代替合金の開発に向け構成成分の組成調整や熱処理との関係を,ナノオーダーの組織観察およびさ機械的性質、電気化学的測定による腐食性を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
学会出張を取りやめたことによる 次年度、物品費として使用
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