Bisphosphonates (BPs) には窒素含有N-BPsと非含有non-N-BPs がある.骨吸収抑制作用はN-BPs >> non-N-BPsだが,N-BPsには発熱・顎骨壊死・消化管傷害などの副作用がある.本研究においては以下を検討した. 1. 私達は,N-BPsの炎症壊死作用に対する細菌膜成分LPSの効果について,以下を報告してきた.(i) N-BPs自体が IL-1 産生を含む種々の炎症作用を示し,LPSによるIL-1産生・遊離は,N-BPs投与マウスで激しく増強される,(ii) N-BPsは投与局所で壊死を起こし,in vitroで細胞非特異的毒性を示す.本研究期間においては,LPSはN-BPsの耳介や足蹠投与による投与局所での炎症・壊死を顕著に増強することを明らかにした.以上の結果は,N-BPsの顎骨への蓄積・遊離とN-BPs自体の細胞毒性が顎骨壊死の原因であり,感染は顎骨壊死誘発因子であることを示唆する. 2. N-BPsは側鎖の構造によりheterocyclic 型N-BPsとalkyl型に分かれる.本研究期間においては以下を明らかにした.Alkyl 型・heterocyclic 型を問わず,N-BPsはリン酸トランスポーターのSLC20/34を介して細胞内に取り込まれ,炎症壊死を起こす (論文投稿準備中). 3. 顎骨壊死はN-BPsにより発症し,non-N-BPs のetidronate (Eti) やclodronate による明確な発症はない.私達はマウスの実験で,Eti は “(i) N-BPsの炎症・壊死作用を抑制し,また,(ii) 骨に結合したN-BPsと置換する” ことを見いだし,EtiをN-BPsの代用薬にする治療を提案している.以前試みた2症例で良好な結果が得られた (2010年報告).その後の症例についても良好な結果が得られ,これらをH26年度に報告 (論文投稿中).
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