研究課題/領域番号 |
24592979
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
中田 憲 秋田大学, 医学部, 助教 (50400510)
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研究分担者 |
杉山 俊博 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00127242)
福田 雅幸 秋田大学, 医学部, 准教授 (20272049)
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キーワード | 口腔癌幹細胞 / Snail / 上皮間葉形質転換 / 浸潤 / 転移 / 免疫抑制 |
研究概要 |
癌治療の抵抗性の原因が,癌幹細胞にあると考えられている.癌幹細胞を標的とした新しい治療法を確立することは,再発や転移のリスクが少ない癌治療法の開発になると期待される.そのためには,癌幹細胞を分離・同定し,癌幹細胞の特性を明らかにすることが非常に重要である.本研究では,口腔癌の癌幹細胞の分離・同定を試み,Snail分子を発現した癌幹細胞は上皮間葉形質転換し,浸潤や転移することを明らかにする.さらに,Snail特異的阻害剤を用いて口腔癌幹細胞を標的とした新規癌治療の開発を目指す. 本年度まで,in vitroの実験系では,ヒトSnail分子の全長cDNAを哺乳類強制発現用プラスミド(DDK tag付き)に組み込み,そのプラスミドをヒト口腔癌細胞株(HSC4)に導入した.Western blottingでSnailタンパク強制発現安定細胞を選別し,Snailの口腔癌細胞への影響を調査している.Snail発現に伴い,敷石状から紡錘状への形態変化や培養皿への接着の減弱がみられ,各種組織幹細胞のマーカー遺伝子発現への影響と上皮間葉形質転換の転移能への影響を今後調査する予定である. In vivoの実験系では,HSC4細胞とSnail強制発現キメラHSC4細胞を6週齢ヌードマウス皮下に移植し,Snailの腫瘍形成能に与える影響を解析している.現在まで,Snailは腫瘍形成能を促進させることを明らかにした.今後は,頭頸部癌に使用される抗癌剤(CDDP,TXT,5-FUなど)を腫瘍形成したヌードマウスに投与し,Snailの治療抵抗性への影響を解析する予定である.さらに,抗Snail抗体やSnail特異的siRNAなどのSnail阻害剤を腫瘍形成したヌードマウスに投与し,口腔癌幹細胞を標的とした再発や転移のリスクが少ない新規治療法の開発を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度と26年度にかけて口腔癌細胞株を用いた癌幹細胞のSnail発現の機能解析と新規癌治療の開発を目的に研究を行っている. 本年度は,ヒトSnail分子の全長cDNAを哺乳類強制発現用プラスミド(DDK tag付き)に組み込み,そのプラスミドをヒト口腔癌細胞株(HSC4)に導入した.Western blottingでSnailタンパク強制発現安定細胞を選別し,Snailの口腔癌細胞への影響を現在も解析中であるが,浸潤能や転移能への影響解析が遅れている.Snail発現に伴い,敷石状から紡錘状への形態変化や培養皿への接着の減弱がみられ,各種組織幹細胞のマーカー遺伝子発現への影響と上皮間葉形質転換の転移能への影響を今後調査する予定である. また,HSC4細胞とSnail強制発現キメラHSC4細胞を6週齢ヌードマウス皮下に移植し,Snailの腫瘍形成能に与える影響を解析中である.現在まで,Snailは腫瘍形成能を促進させることまで明らかにしたが,治療抵抗性への機能解析が遅れている.今後は,頭頸部癌に使用される抗癌剤(CDDP,TXT,5-FUなど)を腫瘍形成したヌードマウスに投与し,Snailの治療抵抗性への影響を解析する予定である.さらに,抗Snail抗体やSnail特異的siRNAなどのSnail阻害剤を腫瘍形成したヌードマウスに投与し,口腔癌幹細胞を標的とした再発や転移のリスクが少ない新規治療法の開発を目指す.
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今後の研究の推進方策 |
In vitroの実験系では,各種組織幹細胞マーカー(ALDH,CD44,CD10,CD24,CD31,CD34,CD90,CD133,CD150,Sca-1,Integrin,ESAなど)を用いてフローサイトメトリーを行い,Snail分子が口腔癌の幹細胞化に関与していることを明らかにする.さらに形態だけではなく,分子レベルでも上皮間葉形質転換が生じることを証明し,転移能への影響を調査する予定である.また,脾臓中の細胞とSnail強制発現キメラHSC4細胞を共培養し,脾臓中の細胞が免疫抑制型のT細胞分化示すか否かを解析し,Snailの免疫抑制能と癌細胞浸潤アッセイでSnailの浸潤能を評価する予定である. In vivoの実験系では,頭頸部癌に使用される抗癌剤(CDDP,TXT,5-FUなど)を腫瘍形成したヌードマウスに投与し,Snailの治療抵抗性への影響を解析する予定である.さらに,抗Snail抗体やSnail特異的siRNAなどのSnail阻害剤を腫瘍形成したヌードマウスに投与し,口腔癌幹細胞を標的とした再発や転移のリスクが少ない新規治療法の開発を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
Snail遺伝子の組み換えと口腔癌細胞株への遺伝子導入後のSnail強制発現安定細胞の選別に時間を要した.そのため,Snailの口腔癌細胞への影響や機能解析がやや遅れており,次年度使用額が生じてしまった. In vitroの実験系で,各種組織幹細胞マーカー(ALDH,CD44,CD10,CD24,CD31,CD34,CD90,CD133,CD150,Sca-1,Integrin,ESAなど)を用いてフローサイトメトリーを行い,Snail分子が口腔癌の幹細胞化に関与していることを明らかにする.さらに形態だけではなく,分子レベルでも上皮間葉形質転換が生じることを証明し,転移能への影響を調査する予定である.また,脾臓中の細胞とSnail強制発現キメラHSC4細胞を共培養し,脾臓中の細胞が免疫抑制型のT細胞分化示すか否かを解析し,Snailの免疫抑制能と癌細胞浸潤アッセイでSnailの浸潤能を評価する予定である.
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