今後の研究の推進方策 |
昨年度までの検討で、再生軟骨組織に認められるマクロファージにサブクラスがあること、またそのサブクラスに応じて軟骨細胞の分化度に違いが出ることが示唆された。本年度は、マウス再生軟骨同系移植モデルを用いて、更に詳細な検討をおこなっていく予定である。具体的には、マクロファージ・ポラリゼーションが再生軟骨移植に及ぼす効果の検証を行うため、M1傾向を示すことが報告されているC57BL/6JマウスとM2傾向を示すことが報告されているBalb/cマウスを用いてそれぞれ再生軟骨同系移植を行う。移植後継時的に再生軟骨組織を摘出し、組織学的観察(HE染色、トルイジンブルー染色)、免疫組織化学的観察(I,II,X型コラーゲン,アグリカン、F4/80、IL-6, IL-10, Arginase Iなど)により、マクロファージの特性が再生軟骨組織の成熟に及ぼす効果を検証する。次いで、マクロファージ機能不全誘導薬を用いた機能評価を行う。マクロファージ機能不全を一時的に誘導するclodronate liposome (Dr. Nico van Rooijen, Vrije Universiteit, Netherlandより供与済み)を、前述の再生軟骨移植において腹腔投与し、投与時期や期間をずらすことにより機能不全を誘導する時期を調整する。継時的に摘出した再生軟骨組織において、組織学的、免疫組織化学的、生化学的解析を行い、各サブクラスのマクロファージが再生軟骨移植において及ぼす効果を検討する。
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