研究課題/領域番号 |
24592983
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
新井 直也 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (80323723)
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研究分担者 |
冨原 圭 富山大学, 大学病院, 医員 (70404738)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ビスフォスフォネート |
研究概要 |
ビスフォスフォネート製剤関連顎骨壊死は、骨代謝だけでは説明がつかず、初期病変として粘膜障害が注目されている。本研究は、ビスフォスフォネートにある本来は弱い粘膜細胞毒性が、カルシウムの動員により増強されるとの仮説に立ち、上皮細胞に対する障害を本剤とカルシウムの協調作用の観点から解明することを目的としている。 ゾレドロネートは現在最もよく使われる注射用BPであるが、最高血中濃度が1uM程度であり、持続的な濃度はその1/10から1/100程度とされるが、そのような1uM以下の臨床と相関のある濃度では、培養上皮細胞の生存にほとんど影響を与えないことが知られている。そこで、1uM以下の低い濃度でのゾレドロネートの作用について、カルシウムの及ぼす影響を調べた。培養細胞には、ビスフォスフォネートの実験に比較的よく使用されているヒト上皮細胞株(HaCaT細胞)を用い、細胞増殖活性、アポトーシス誘導を評価し、以下の結果を得た。 MTT法による細胞増殖アッセイの結果、標準のカルシウム濃度では1uM以下のゾレドロネートに増殖抑制効果はないが、カルシウム濃度が増加すると、0.5uMのゾレドロネートにカルシウム濃度依存的な増殖抑制作用が認められた。また、Annexin-V/PIの二重染色によるフローサイトメトリーの結果、1uM以下のゾレドロネートがカルシウム存在下にアポトーシスを誘導することが明らかになった。さらに、こうしたゾレドロネートとカルシウムの相乗作用は、カルシウムキレート剤であるEGTAにより打ち消された。 本結果より、臨床的な低濃度であってもゾレドロネートが上皮細胞に対して毒性を発揮しうることが示され、ビスフォスフォネート顎骨壊死のメカニズムを解明する上で、重要な手がかりと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書において下記の研究を計画しており、以下のように1~4のうち4以外はすでに遂行されている。 1.ゾレドロネート(ゾメタ)の濃度を1uM以下に設定し、培地に種々の濃度のカルシウム(CaCl2)を添加して細胞増殖に与える影響をMTT法にて解析し、上記の「研究実績の概要」に記した重要な知見を得た。 2.アポトーシスへの影響を、Annexin-V/PIの二重染色によるフローサイトメトリーにて解析し、上記の「研究実績の概要」に記した重要な知見を得た 3.薬物代謝酵素であるチトクロームP450系酵素のうち、上皮細胞など普遍的に発現しているCYP1A1, CYP1B1, CYP2C8、またQRやQPRTといった解毒酵素の発現をRT-PCR法にて解析した。本実験では、カルシウム濃度にともなう発現の変化などは認めらなかった。 4.Fura 2-AMカルシウムイオン濃度測定法による細胞内カルシウムイオン動態の解析は本実験系では遂行が困難であることがわかり、45Caの取り込み実験を現在計画中である。
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今後の研究の推進方策 |
申請書における平成25年度以降の計画に従い、含嗽薬をはじめとする薬剤を用いたカルシウム作用の制御実験を行う。 カルシウムキレート剤であるEDTAと比較しながら、代表的な含嗽薬成分であるポピンドンヨード、塩化ベンゼトニウム、アズレンスルホン酸ナトリウム、グルコン酸クロルヘキシジン、およびそれらを含有する含嗽薬であるイソジンガーグル®、ネオステリングリーン®、アズノール®、コンクールF®、さらにカルシウムのイオン化を促進する極性の高い溶媒として知られるDMSOについて、ゾレドロネートとカルシウムの相乗的な細胞毒性に対する低減効果を以下の方法で検討する。 まず、上記の薬剤が単独で細胞増殖やアポトーシスに影響を与えない濃度を決定する。つぎに、これらの薬物がカルシウムとゾレドロネートの増殖抑制の相乗作用に対して、どの程度EDTA-likeな阻害作用を示すかを、EDTAと比較しながら、MTT法およびAnnexin-V/PIの二重染色によるフローサイトメトリーにて解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
おおむね順調に進展しているが、年度末時点で32327円の残高が残っており、合わせて申請書の内容に沿った使用を計画している。 上記の「現在までの達成度」にあるとおり、カルシウムの取り込み実験がまだ未達成であり、その分の試薬やプラスチック器具の購入が追加で必要となる。
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