研究課題
基盤研究(C)
これまでのLYDEXの予備実験でのデータを再確認する目的で、ラット15尾を用いて再評価した。LYDEXは、アルデヒド基の量を変えることで、硬化時間を調節可能になること。ポリリジンに添加する無水酢酸の量を変えることで分解速度を調節できること。フィブリン糊を対象とした場合、ライデックスの接着強度は4倍、また、1.5倍の柔軟性が観られた。さらに、下記の実験を行った。実験1.LYDEXの口腔粘膜欠損への創保護材としての有用性の検討.ラットの舌下面に、バイオプシーパンチで直径5mm、深さ1.5mmの粘膜と筋層を含めた組織欠損を作り、止血後にLYDEXを塗布。コントロールは、組織欠損のみとした。そして、一定期間毎に組織を取り出し、組織学的検討を行った。これまでの結果: コントロール、フィブリン糊は3日では、感染がみられた(4/5尾)。LYDEX群では感染がすくなく、3週間では全個体はほぼ治癒していたが、粘膜の張る速度と拘縮による変形がやや少ない。表面はカヒ様組織が形成されてその下に潜り込むように上皮細胞が伸展していた(9/10尾)。LYDEX群は薄い粘膜が張って粘膜欠損部を覆っているが、コントロールとフィブリン糊のグループでは、粘膜が張りきれていないものがあった(2/5尾)。
2: おおむね順調に進展している
今回の本研究に入る前に、約2年間の予備実験を行ってきていたため、研究方法は熟知していたことと、ある程度の実験結果が予測出来ていたため、各々の作業の失敗が少なかったものと思われる。
この研究は、臨床治験さらに臨床応用を目標にしているため、臨床応用に求められる口腔粘膜の保護剤としてのLYDEXの課題は、ポリリジンは天然由来であるため、イプシロンポリリジンの合成を可能にすること、口腔内は動くので、強固な組織結合力が必要であること、そして瘢痕拘縮の防止である。そのため、本研究を行いながらLYDEXの組成の改良点も同時に検討する必要がある。平成25年度は下記の実験を行う予定である。実験2. LYDEXの線維芽細胞誘導因子FGF-2のドラッグデリバリーシステムとしての有用性と粘膜欠損修復過程の促進の検討実験3. LYDEXの骨形成因子BMP-2のドラッグデリバリーシステムとしての有用性と抜歯窩の骨修復過程の促進の検討
次年度使用額 70,225円/動物実験のラットの購入と実験を計画していたが年度末になったため、次年度に繰越し実験を行う予定である。(平成25年度) 物品費500,000円, 繰越金70,225円, 旅費200,000円,人件費・謝金100,000円. 合計970,225円 以上.