実験結果: 1)aldehyded a-glucanのアルデヒド基 (R-CHO)の導入量を変化させることで硬化時間を任意に設定できるが、今回では最終的に硬化時間を約2分とした(R-CHOを0.25に調整した)。 2)ε-ポリリジンに添加する無水酢酸の濃度を1.5%に設定し,自己分解速度は2週間に調節した。処置群(各々:n=10)は,ウイスター系ラットを使用し、舌下面粘膜に直径5mm粘膜欠損を作成し,LYDEXを1ml(FGF-2 100μg含有)のシリンジに各々A液(デキストラン)とB液(ポリリジン)を混和・充填して創面を固定すした。処置直後,3日,1週,2週,3週で取出し組織学的評価をした。コントロールは、粘膜欠損のみを作成した。FGF含有LYDEX処置群では、コントロールに比べて、1週、2週の組織で周囲から粘膜が中央に進展し粘膜形成が行われる傾向が観られた。粘膜形成率は、それぞれ1週で28%:15%、2週で68%:54%であった。しかし、処置数の約半数は、早期に脱落しており、再検定が必要である。 3)上述の実験結果から、LYDEXの自己分解開始を3日に調整して約7日で分解できるように調整した場合、LYDEXのFGF-2のドラッグデリバリーシステムとして効果を向上させ、修復能力を発揮できることを確認した。2)の2週間の分解時間に調整した場合は、効果はみられなかった。LYDEXはFGF-2を含んで一旦硬化するが、その後、それ自身が分解して崩れることでFGF-2が放出されると推測される。
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