研究課題/領域番号 |
24592991
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森田 浩光 九州大学, 大学病院, 助教 (30380463)
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研究分担者 |
光安 岳志 九州大学, 大学病院, 助教 (00380519)
安部 喜八郎 九州大学, 大学病院, 准教授 (20117055)
中村 誠司 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60189040)
伊東 祐之 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (80037506)
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キーワード | エナメル上皮腫 / 骨溶解 / V-ATPase / ClC-7 / RANKL |
研究概要 |
昨年度の結果からAM-1は細胞表面にV-ATPaseおよびCLC-7を有し、破骨細胞と同様にリン酸カルシウムを溶解すること、V-ATPaseの選択的阻害薬であるbafilomycinによりその溶解は抑制されること、骨粗鬆症薬であり破骨細胞の活性を抑制するalendronateやethidronateには感受性を示さなかったこと、自らRANKLを放出するだけでなく、破骨細胞と同様にRANKを有することを示したことなどが挙げられるが、本年度は1) の更なる検討として、RANKシグナル下流の機構に焦点を絞って実験を行った。AM-1は細胞外Ca負荷およびRANKL刺激により、細胞融合を引き起こすが、この機構は破骨細胞様のRANKの活性化によるTRAF6の亢進からc-fosのリン酸化や細胞内Ca上昇を経て、NFATc1の脱リン酸化(亢進)するだけでなく、細胞外Ca負荷(1mM Ca)によりNFATc2の亢進という2つの経路により活性されることが明らかとなった。 さらに、摘出組織を用いてV-ATPaseおよびCLC-7の局在を組織免染にて検討したところ、AM-1のoriginであるplexiform型はもちろんのこと、follicular型およびbasal cell型においても細胞膜近辺に両者の局在を認めた。 以上の結果から、エナメル上皮腫は破骨細胞と同様に細胞表面にV-ATPaseおよびCLC-7を有し骨融解を引き起こすこと、また骨融解において発生した局所の細胞外Caおよび自らも放出するRANKLをRANKにて受容することによりNFATc1およびNFATc2を活性化させることで破骨細胞と同様に細胞融合を引き起こしていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度までの成果としては、エナメル上皮腫細胞であるAM-1の骨溶解に関する細胞膜上のイオンチャネル/トランスポーターの発現のみに焦点を当ており、その点に関しては予想通りに結果が出ている。さらに新たな発見としては、自ら溶解した細胞外Caにより、また自ら放出したRANKLにより、細胞内シグナル伝達機構の活性化により形態変化やさらなる骨溶解が行われていく、すなわちポジティブフィードバック機構が働いている可能性が示唆されたことである。このように、本研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定であった研究計画に対する結果はすでに最終段階に入っており、今後、論文にまとめ国際誌に投稿する予定である。残りの期間は、新たに発見した機構の解明に充てる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
共同研究者の協力や学内機器を安価で借用することができたため、研究遂行費が計画よりも少なく済んだため、次年度使用額が生じた。 実験をスムーズに遂行するため、主に各種試薬および器具類などの消耗品の購入、共焦点顕微鏡などの機器借用料に充てる。さらにこれまでの成果を発表する目的で、国内外の学会に積極的に出席し発表することや論文を投稿するため、一部を旅費や投稿料に充てる予 定である。
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