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2012 年度 実施状況報告書

遊離皮弁生着率向上のための虚血再灌流障害抑制法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 24592992
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州大学

研究代表者

笹栗 正明  九州大学, 大学病院, 講師 (00225898)

研究分担者 光安 岳志  九州大学, 大学病院, 助教 (00380519)
豊嶋 健史  九州大学, 大学病院, 助教 (20546569)
中村 誠司  九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60189040)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード虚血再灌流障害 / 微小血管吻合 / 遊離組織移植 / 血行障害
研究概要

Wister rat の32皮弁を用い、初回血管吻合時のPrimary ischemia(PI)と血管吻合後の血行障害によるSecondary ischemia(SI)の虚血時間の違いによる皮弁生着状態を検討した。PIの時間を2、4、6時間に設定し、血管吻合後24時間後に2、4時間の虚血状態を作りSIのモデルとした。対照群は皮弁を挙上したまま2時間と4時間放置し、定位に戻して縫合した。
【結果】1. PI の時間と皮弁生着率:各虚血時間に対し4皮弁ずつ用いた。生着率は虚血時間2時間群 100%(4/4)、4時間群75%(3/4)、6時間群25%(1/4)、対照群は全て生着していた。生着しなかった皮弁は全壊死であった。壊死皮弁の色調変化は24時間以内に生じていた。そこでSI は吻合後24時間の時点で色調の変化を認めなかった皮弁で、2時間と4時間の虚血状態を作った。2. SI の時間と皮弁生着率:各群に3皮弁ずつ用いたがPI 6時間群では24時間の時点で生着していた皮弁は1皮弁であった。PI 2時間群ではSI 2時間群、4時間群とも生着率は100%(3/3)であった。PI 4時間群ではSI 2時間群67%(2/3)、SI 4時間群33%(1/3)であった。PI 6時間群ではSI 2時間群50%(1/1)、SI 4時間群は0%(0/1)であった。3.組織学的検索:組織学的にはPIで皮弁が生着しなかった群は皮弁全体の細動静脈の血栓を認めた。虚血時間の長さや虚血再還流障害の影響と組織学的所見との関連性までは確認できなかった。
以上より、PIでは4時間を超えると皮弁の生着に影響を与える可能性が示唆された。さらに6時間を超えるとPI のみで皮弁内での血栓形成が生じることがわかった。PIよりもSIの方が同じ虚血時間でも皮弁生着に与える影響が大きい可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Primary ischemiaだけでも時間が長くなれば、血流を再開させてもその後の血流障害を生じる可能性が高くなることがわかった。また、Secondary ischemiaにおいてはPrimary ischemiaよりも虚血よる血流障害への影響を生じやすいという結果が得られ、次年度に向けての研究を予定通り進めていく予定である。ただし、今回は免疫組織学的検討や病理組織学的検討が十分に行えていないので、次年度は同様の実験で症例数を増やし、傾向をつかみたい。
ratを用いた血管吻合実験は概ね良好に行えるようになってきたが、実験手技が煩雑で時間を要すため数をこなしてスピードアップするとともに虚血時間の設定の組み合わせを効率よく行うことが必要である。

今後の研究の推進方策

平成24年度の結果で虚血時間の違いにより、皮弁生着率が影響を受けることがわかってきた。次年度はさらに症例数を増やし傾向をつかみ、免疫組織学的および病理組織学的検索を行う。血流障害が虚血再灌流障害の影響によるものかを検討するために、虚血再灌流前後での組織学的変化を観察するとともに、虚血再灌流後のICAM-1, E-Selectinの発現や好中球エステラーゼ活性の測定を行い、虚血再灌流による組織学的影響や細胞生物学的影響を明らかにする。それらの結果に基づき、虚血再灌流障害抑制のための皮弁処理方法を検討し、最終的には臨床に応用できるような虚血再灌流障害抑制法を確立し、遊離組織移植の生着率向上に貢献できるようにしたい。

次年度の研究費の使用計画

次年度は主に実験動物および飼育費、実験試薬や手術器具などの消耗品および学会出張旅費に使用する予定である。また、助手用サージルーペの購入を予定している。

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公開日: 2014-07-24  

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