研究課題/領域番号 |
24592993
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大山 順子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70294957)
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研究分担者 |
城戸 瑞穂 九州大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (60253457)
梶岡 俊一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (90274472)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 口腔外科学 / ドライマウス / 組織幹細胞 / シェーグレン症候群 |
研究概要 |
近年組織幹細胞と呼ばれる細胞の存在が明らかになり、他の胚葉系にも分化が可能な多能性幹細胞があることが明らかとなり、組織再生へ応用され始めている。中でも間葉系幹細胞は、種々の疾患において障害された細胞に替わって移植した細胞によって組織を再生させるという細胞移植療法の最終目的だけでなく、残存する細胞の活性化や細胞の障害の抑制を行うことで症状を緩和したり、病気の進行を抑制するなどの種々の効果も認められている。 本研究ではドライマウスの中でシェーグレン症候群 : SS、放射線障害、加齢に対応するモデルマウスの顎下腺に間葉系幹細胞を移植することによる、唾液腺の機能回復、ドライマウスの症状改善を図ることを目的としている。 ドライマウスのモデルとして①研究代表者が以前作成した自己免疫性唾液腺炎(SS)のモデルマウス②放射線照射モデルマウス③加齢モデルマウスの3系統を使用し、移植する幹細胞としては脂肪組織中に存在する間葉系幹細胞(Adipose tissue derived stromal cell: ADSC)または骨髄間葉系幹細胞を用いる。まずは①の自己免疫性唾液腺炎モデルマウスによる実験を開始するため、本年度はまずマウスの病原微生物の清浄化のための胚操作を行った。繁殖効率が悪く、さらに胚操作での受精、着床に時間を要したが、現在2系統のマウスのクリーンアップが終了して交配中で、実験可能な個体数が確保できた時点で感染実験を開始できる状態までに安定してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3つのモデルマウスの中で研究代表者が以前作成した自己免疫性唾液腺炎(SS)のモデルマウスにマウスサイトメガロウイルスの感染実験を行うために、本年度はまずマウスの病原微生物の清浄化のための胚操作をおこなった。繁殖効率が悪く、さらに胚操作での受精、着床に時間を要したため当初の目的まで実験が到達しなかったが、現在2系統のマウスのクリーンアップが終了して交配中で、実験可能な個体数が確保できた時点で感染実験を開始できる状態までに安定してきた。個体数が確保できた時点で前年度の研究の遅れを取り戻す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
SSモデルマウス、加齢モデルマウスにおける唾液分泌量の経時的変化の観察は週1回腹腔内麻酔下にピロカルピンを腹腔内投与し、投与後5分から30分の間に口腔内に流出する唾液を毛細管で採取して行い、さらにこれらのマウスの顎下腺の組織変化を経時的に観察し、組織採取の際一部の顎下腺組織からのRNA抽出を行う。in vivo での機能低下を認める2-4週前のタイミングを確定し、幹細胞移植の時期を決定する。 一方脂肪組織中に存在する間葉系幹細胞(Adipose tissue derived stromal cell: ADSC)の分離培養を開始する。上記マウスの個体繁殖の際に実験には雌マウスを使用するため、雄マウスを用いてADSCの分離培養の予備実験を開始する。分離培養した細胞の幹細胞としての特徴をFACSおよび分化実験で証明する。 並行して最終的に移植に用いるGFPトランスジェニックマウスを入手、クリーンアップおよび繁殖を行い、最終的に移植に用いるGFP-ADSCの作成準備に取りかかる。
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次年度の研究費の使用計画 |
新たにGFPトランスジェニックマウスを入手、クリーンアップおよび繁殖するのに必要な費用(24年度に行う予定であったが、前述のマウスのクリーンアップに時間を要し、GFPトランスジェニックマウスまでできなかった分)に加えて、24年に開始した自己免疫性唾液腺炎モデルマウス、加齢モデルマウスの維持、実験に費用を使う。ADSCの分離培養とその解析に使用するFACS用の抗体、PCR用の酵素などの消耗品費用、組織染色の委託費用等に物品費用を使用する。 さらに、本年京都で行われる国際シェーグレン症候群学会に参加し、情報収集を行う。
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