研究課題/領域番号 |
24592995
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
宮脇 昭彦 産業医科大学, 大学病院, 講師 (40200216)
|
研究分担者 |
池田 龍二 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (50398278)
中村 典史 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60217875)
比地岡 浩志 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70305150)
|
キーワード | 解糖系代謝 / メタボローム / EMT / 口腔癌細胞 / 低酸素環境 |
研究概要 |
がん細胞は多くの遺伝子の構造的あるいは機能的変化の結果、自律的増殖を獲得した細胞である。その増殖を支えるためには多くのエネルギーを必要とするため、腫瘍の血管新生能力と腫瘍の浸潤能や転移能などの悪性度がよく相関するという報告が多くみられる。しかしながら、腫瘍の生理学的反応は複雑で、血流が少なく低酸素環境にあるもの程極めて悪性度が高くなることが報告されている。我々の研究分担者である比地岡らは、口腔癌細胞を使って低酸素環境下で培養したものと通常どうり培養した口腔癌細胞を比較して、上皮間葉移行(EMT)の指標であるEカドヘリンが低酸素環境下ではその発現が減少することを報告した。さらにwound healing asssayや浸潤能試験においても手低酸素環境下で培養した口腔癌細胞が有意に増加した。これらの現象はNotchシグナル阻害薬で阻害されることから低酸素環境下における口腔癌細胞がNotchシグナルを介してEMTを誘導し悪性度を増していることが明らかとなった。このように我々の研究課題である低酸素環境における口腔癌細胞の悪性化の獲得についていくつかの事実が明らかになりつつある。昨年度よりエネルギー基質輸送媒体としての乳酸の細胞表面に存在するトランスポーターのMCT4が口腔癌や口腔前癌病変においても発現していることが明らかとなり、さらにメボローム解析が進むことで口腔癌細胞の解糖系代謝亢進と悪性形質獲得の関連が明らかとなると思われる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
低酸素環境下における口腔癌細胞の悪性形質獲得の事実について明らかになっているが、口腔癌細胞の低酸素環境下培養におけるメタボローム解析の差異が十分でていないのが現状であるため、解糖系代謝亢進と悪性形質獲得の機序については今後の研究が必要である。
|
今後の研究の推進方策 |
低酸素環境下培養における口腔癌細胞の網羅的な解糖系代謝と関連するメタボローム解析を研究分担者と連携してさらに推進する。メタボローム解析が終われば次の悪性化形質獲得の研究がすすむと思われる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、口腔癌細胞の低酸素環境下における悪性形質獲得の実験は行えたが、口腔癌細胞の低酸素環境下における解糖系代謝に関わるメタボローム解析や手順に遅れが生じ、予算の大半はこの実験に関わるため次年度使用額が生じている。 口腔癌細胞の低酸素環境下における培養と通常通り培養した口腔癌細胞における解糖系代謝に関わる網羅的なメタボローム解析を行う。
|