研究実績の概要 |
口腔癌細胞HSC-2,HSC-4 を用いてnormoxia,hypoxia の環境で24 時間培養しメタボローム解析を行った。 Heatmap図ではHSC-2 とHSC-4 ではピークの差がみられ、代謝産物の差異が明らかにみられた。しかしながらHeatmap 図のピーク値に共通した部分も見られる。Hypoxia環境で培養した後、その反応の仕方は一見規則性がないように見えるが、大まかにはそれぞれの細胞集団でnormoxia 環境で培養した場合の代謝を維持していた。HSC-2 とHSC-4 の共通した代謝pathway はhypoxia で培養した場合には同程度に低下していることがわかった。またHSC-2 では一部の領域ではnormoxia で多かった代謝産物がhypoxia 培養後低下していたが、HSC-4 では見られない現象であった。HSC-2,HSC-4の細胞株は解糖系代謝の亢進、アミノ糖、ペントースリン酸経路が特にピークがみられたが、低酸素環境ではペントースリン酸経路の代謝亢進した。その傾向はHSC-4で強かった。さらに、hypoxia 環境で培養した場合、両方の細胞株ともスクラッチテストによる細胞増invasionassay による浸潤能は増大した。EMT や転移に関連するE-カドヘリン発現の低下も観察されhypoxia 環境では、細胞集団の悪性形質が獲得されることを確認した。hypoxia環境におけるエネルギー代謝の変化は悪性形質の獲得に影響することが示唆されたが、癌細胞の違いによる代謝変化の不均一性がみられ、代謝変化の不均一性の解明が必要と思われた。
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