研究課題/領域番号 |
24592997
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
金村 成智 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70204542)
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研究分担者 |
雨宮 傑 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90398389)
山本 俊郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40347472)
熊本 園子 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (90613563)
山本 健太 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (00636160)
足立 哲也 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (10613573)
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キーワード | 移植・再生医療 / 再生医学 / 細胞・組織 / 歯学 / 臨床 |
研究概要 |
近年、in vitroにて骨膜由来細胞を培養・増殖させ、in vivoへ移植し戻す方法で、有意に歯周組織(歯槽骨)の再生が観察されるとの報告を散見する。そこで、われわれは骨膜由来細胞の培養に適当な基質を用いることが重要と考え、生物学的材料として様々な医療領域分野で注目されている羊膜を用いることに着想し、羊膜を基質とした骨膜由来細胞の培養を試みた。 羊膜は、帝王切開時の胎盤より採取した。また骨膜組織は、歯槽骨上にある組織を骨膜組織として採取した。得られた骨膜組織の初代培養を行い、3~4代継代培養し得られた細胞を骨膜由来細胞として使用した。上記にて得られた骨膜由来細胞を、羊膜上皮細胞を剥離・除去した羊膜上にて、骨分化誘導培地を用いて約3週間の培養を行った。 骨膜由来細胞は羊膜上にて、層状構造を示した。免疫染色像では、細胞増殖マーカー(Ki-67)、間葉系細胞マーカー(ビメンチン陽性細胞)が認められた。培養細胞間においてはデスモソーム構成タンパク(デスモプラキン)、タイト結合構成タンパク(ZO-1)が発現し、培養細胞の基底部(細胞-羊膜境)では、基底膜構成細胞接着タンパク(ラミニン5)、基底膜構成コラーゲン(VII型コラーゲン)が発現していた。また、骨芽細胞マーカーであるオステオカルシン(BGP)、オステオポンチン(OPN)、骨シアロタンパク(BSP)の発現を認めた。 骨膜由来細胞は、羊膜上においても増殖し、細胞間接着装置、基底膜が存在し、1枚の細胞シートを形成しているものと考えられ、羊膜は骨膜由来細胞の培養・増殖に適当な足場(基質)である可能性が示された。また、細胞シートにて、骨芽細胞が産生するタンパクであるBGP、OPN、BSPの発現を認めたことより、羊膜上培養骨膜由来細胞は、骨形成能、すなわち歯周組織再生を促進する性質を有しているものと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨膜組織からの骨膜由来細胞の獲得方法を確立し、羊膜上培養骨膜由来細胞の作製に成功した。また同細胞シートの組織学的ならびに免疫組織化学的解析がほぼ終了した。以上より、現在までの研究の達成度としては、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
作製した羊膜上骨膜由来細胞シートの実験動物への移植を行い、移植後における培養シートの経時的変化を組織学的・免疫組織化学的に評価する。 実験動物の臼歯の支持骨を削除し露出歯根面を作製した歯周欠損モデルへの移植を予定しているが、生着組織の均一化や特定が困難であること、また極めて狭小な部位への細胞移植であり、安定した再現性が得られないことが予測されるため、細胞を一箇所に留めることが可能であり免疫寛容が高い腎被膜下への細胞移植法を予定している。具体的に、培養シートを羊膜ごと腎皮膜下への移植行い、移植後における培養シートの経時的変化を組織学的・免疫組織化学的に評価する。移植した細胞が骨芽細胞に分化し、さらに新生骨を形成する局所特異的変化(骨芽細胞が産生するタンパクであるBGP、OPN、BSPの発現)が予想される。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度内に実験動物の調達が間に合わず、予定額を下回った。 実験動物の購入ならびに免疫染色に使用する各種抗体の購入、ならびに研究成果発表のための旅費・投稿費として使用する予定である。
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