研究課題
本研究は、破骨細胞前駆細胞において恒常発現している糖鎖認識受容体dectin-1に注目し、dectin-1と特異的な結合能を有するβ1-3グルカンの1つシゾフィラン(SPG)の一部を核酸と置換した複合体を用いて、破骨細胞に選択的なドラッグデリバリーシステム(DDS)を構築することを目的としている。これまでに破骨細胞分化抑制に関わるターゲット分子としてTNF受容体ファミリーのシグナル分子であるTNF receptor associated factor 6 (TRAF6)を選択して研究を展開してきたが、今年度は他のターゲット分子として、Cathepsin-K、Nuclear factor of T-cells, cytoplasmic (NFATc1)、Calcium release-activated calcium channel protein 1 (ORAI1)、Osteoclast stimulatory transmembrane protein (OC-STAMP)のアンチセンスオリゴを設計し、SPGとの複合化を行った。付随して展開しているβ1-3グルカンであるカードランを用いた研究では、これまでにカードランが破骨細胞前駆細胞上のdectin-1を介して破骨細胞分化因子(RANKL)による破骨細胞形成を負に制御することを見出した。本年度は、破骨細胞の機能に及ぼす作用についても検討し、カードランが破骨細胞性骨吸収に対しても抑制的に作用することを証明した。さらに、細胞内シグナル分子について検討した結果、カードランはオートファジー・リソソーム系の活性化を介してdectin-1直下のシグナル分子であるsykを分解し、下流に存在するc-fosやNFATc1といった破骨細胞分化に関与するタンパクの発現を抑制することにより、破骨細胞を負に制御することが示唆された。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (21件) (うち招待講演 1件)
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