研究課題/領域番号 |
24593007
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
藏口 潤 杏林大学, 医学部, 助教 (30424576)
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研究分担者 |
近津 大地 東京医科大学, 医学部, 教授 (30343122)
渡辺 正人 東京医科大学, 医学部, 講師 (40349460)
賀来 亨 天使大学, 看護栄養学部, 教授 (60133253)
里見 貴史 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70276921)
池田 哲也 杏林大学, 医学部, 講師 (60424107)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔癌 / mTOR / COX-2 / RANKL |
研究実績の概要 |
研究目的:口腔癌の骨破壊・骨浸潤による癌性疼痛は患者のQOLを著しく低下させる。従って、癌の骨への浸潤,あるいは浸潤した癌細胞の骨内での増殖を制御することは臨床上極めて重要な課題である。癌細胞は直接,骨を破壊し進展して行くのではなく,癌により誘発された破骨細胞が活発に骨吸収を起こし,骨吸収によって生じた部分に癌細胞が進展していく。これは骨に特異的な病態であり,骨に対する臓器特異的治療である破骨細胞性骨吸収阻害を中心とした新たな治療が癌の顎骨破壊や骨内での腫瘍増殖を抑制する可能性を示唆している。われわれは口腔扁平上皮癌にしばしば認められる骨破壊・骨浸潤の機序をin vitro, in vivo の実験系を用いて、mammalian target of rapamycin (mTOR)とcyclooxygenase-2 (COX-2)シグナルを介したRANKL の発現の関与を検討する。
平成27年度研究実施計画(延長実地計画): 昨年度(平成26年度)は、mTOR・COX-2 シグナルによる破骨細胞形成因子RANKL の発現を検討した。口腔癌のcell line である2種類のマウス扁平上皮癌細胞(SCCⅦ, NR-S1)の培養上清(この中にはPTHrP とIL-6 が発現している)をマウス骨髄由来ストローマ細胞株ST2細胞とマウス骨髄細胞の共存培養系に投与し、RANKL のmRNA の発現をRealtime PCR で、タンパクレベルの発現をWestern blot で検討した。また、mTOR とCOX-2 の関係に対してはmTOR 阻害剤(Temsirolimus)とCOX-2 阻害(Celecoxib, NS-398)を用いて検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成26年度よりIn vivo での検討を行っている。すなわち担癌マウスによる骨浸潤モデルを用いた、骨浸潤・骨転移におけるmTOR およびCOX-2 シグナルの関与を検討する。マウス扁平上皮癌細胞(SCCⅦ, NR-S1)(5 × 105 cells/injection)をマウスの頭頂骨骨膜下に移植し、移植癌細胞による頭頂骨や顎骨浸潤モデルを作成してmTOR 阻害剤単独群、COX-2阻害剤単独群、mTOR 阻害剤とCOX-2 阻害剤に併用投与群、コントロール群の4群に分け、比較検討を行っている。薬物投与実験なため思うような結果が得られていない。 平成27年度も平成26年度分の延長研究も引き続き行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
担癌マウスによる骨浸潤モデルを用いて、骨浸潤・骨転移におけるmTOR およびCOX-2 シグナルの関与を検討する。まず、担癌マウスによる骨浸潤・骨破壊モデルを作成する。次に、マウス扁平上皮癌細胞(SCCⅦ, NR-S1)(5 × 105 cells/injection)をマウスの頭頂骨骨膜下に移植し、移植癌細胞による頭頂骨への浸潤開始時期を検討する。そして、その得られた結果をもとに、移植担癌マウス(頭頂骨浸潤モデル、顎骨浸潤モデル)でmTOR 阻害剤単独群、COX-2阻害剤単独群、mTOR 阻害剤とCOX-2 阻害剤に併用投与群、コントロール群の4群に分け、以下の比較検討を行う。 研究の進行が遅れているため、平成27年度の延長願を提出し承認された事より平成27年度に平成26年度分の研究も引き続き行う予定である。 1)腫瘍体積を(長径)×(短径)2×0.5 および重量から計測 2)軟X線による骨破壊度の計測 3)マイクロCT による3次元的形態計測 4)H-E 染色による病理学的評価と破骨細胞特異的マーカーであるTRAP 染色による破骨細胞数の計測腫瘍組織より産生されるmRNA およびタンパクレベルの発現定量をReal-time PCR にて評価する。IL-6, PTHrP,TNF-α, RANK, RANKL, およびosteoprotegerin のmRNA の発現をReal-time PCR で、タンパクレベルの発現をWestern blot で検討する。試料は、体重を測定してから屠殺後、骨を掃出し、連続縦断切片を作成し、経時的変化を免疫組織学的に解析する。各種染色法により組織学的検討を行う。また、骨芽細胞や破骨細胞の発現様式を検討するために、ALP 染色、TRAP 染色を行う。分化マーカー等を検討するために、タンパクレベルで免疫組織化学的染色を、mRNA レベルではin situ hybridizationを行う。最終的には、統計学的解析を用いて詳細に検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度分の研究が遅れているため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
腫瘍組織より産生されるmRNA (IL-6, PTHrP, TNF-α, RANK, RANKL, およびosteoprotegerin)の発現定量を評価する。 また、試料は、体重を測定してから屠殺後、骨を掃出し、連続縦断切片を作成し、各種抗体を用いて経時的変化を免疫組織学的に解析する。抗体の費用や測定機器の備品などに研究費を使用する計画である。
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